ミリ以下の精密大量生産

 釣りの小道具が必要なため、このところ頻繁に100円均一ショップへ行く。といってもあれこれ買い込むわけでもなく、ただ「釣りに使えそうなものはないか探す」という口実でウィンドウショッピングをしているだけなのだ。
 実際今のところ100円ショップで買ったものといえば仕掛けを収納するためのタッパーと、仕掛けのストックや釣れた魚を入れるために使う(予定の)チャック付き袋と針はずしぐらいだ。そう、今では100円ショップで釣具が売っているのだ。
 今では100円ショップでルアーやテグスやサビキ釣り用の仕掛けが売っている。私が釣りを思い立った時、そういうものが100円ショップにあるとは全く想定していなかったのだ。アウトドアレジャーの需要が拡大しているのは耳に入っていたが、まさか釣りまでワンコインに含まれているとは思わなかった。
 しかし考えてしまうのは、これで元がとれているのかということだ。初心者にとって釣り針と糸が結んでセットされている「仕掛け」の販売は非常にありがたい。だかサビキ釣りではひとつの仕掛けに3本の糸が枝状に別れた先に針がついている。単純計算で、糸と針、糸と糸、それぞれ3組の計6か所結び目が作られている。これはおそらく手作業になると思うのだが、結び目を作る人の時給はどうなっているのだろう。100円で大量販売できるぐらいの結び目職人がいるのだろうか。いや、そもそも100円以前に釣具の量販店があるのだから以前から大量生産はされてきたはずだ。それにしても労働者に支払われる単価はどうなっているのだろうか……。
 不器用な身としては感謝と申し訳なさの二律背反。せめて安易に廃棄にならないよう丁寧に使おう。


今日の英語:Mass production

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?