ネコーヒー:エスプレッソ #4杯目

 テトとマユは仲が良い。仲が良すぎて人間の入る余地が無いため地団駄踏むこともあるが、やはり猫同士が仲が良いことは素晴らしい。
 今月の始めの雪が降った日、テトが家の外へ脱走した。人間が出入りしている間の隙を突いて雪の中に飛び出したのである。何故こんな寒い日に限ってそういうことをするのか。しかしテトは臆病なのに好奇心は旺盛という非常に猫らしい性格、よりによって雪の日を選ばなくてもいいと思うが怒ることもできない。
 家の周囲を一通り探し回ったが見付からない。だがテトの好奇心的脱走はこれが初めてではない、毎回半日ほどで帰宅している。すぐに凍死するような皮下脂肪ではないので玄関を開けておいて少し様子を見ることにした、マユが。マユが玄関に座り30cmほど開かれたドアに向かってMeowMeow鳴き続けたのである。
 外は寒いし危険、でもテトは心配。 マユ行方不明の妹分を想いながら、雪と北風で冷える玄関に座り続けたのである。その後ろ姿に人間どもは涙を禁じ得ないかった。
 そして約3時間後、テトはポイと帰ってきた。怪我もクシャミもなく。怯えた様子もないことから、雪景色を存分に楽しんだのだろう。しかし人間とマユの胃が痛むようなお遊びは勘弁してほしい。

 マユの情は皮下脂肪以上に厚く、テトは美少女顔なのにポンコツなのだ。


今日の英語:Snow


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