平面に内包された無限

 それは良き相手であれば優れた聴講であり、時に己との対話を促す。
 以前より読む本の量が減っている。かつては手持ち無沙汰になれば即本を開いていたが、今では現代人らしくすぐスマートフォンをいじってしまう。これでは不味いと、仕事の休憩時間は必ず本を開くよう習慣づけた。
 少なくともものを食べている間は本を読む。意識してよく噛むようにしながら文字を追う。そんな昼食の友は「月間住職」だ。Twitterで次号予告が面白いと話題になった差異に、話題を消費するだけでなく現物に触れてみようと購入してみた。そうしたら想像以上に興味深い世界。電子マネーやネット配信との向き合い方、高齢化と廃寺の問題、僧侶の就労や相続問題や檀家と寺の対立など“超”現実的な問題が特集されている。それだけでなく日本の宗教史や釈尊の言動にまで遡って考証された仏教研究など、仏教はなんたるかが幅広く研究されている。明治の廃仏毀釈や某巨大政党宗教にまで考察が及んでいるのには感心の至りだ。
 過去にいくら本を読んでいたとて、リアルタイムのインプットが貧しいとアウトプットも荒くなる。やはり優れた先達の文章は輝いており、すぐに理解できなくても飲み込んでいればやがて心が潤ってくる。またこの「月間住職」は教養に溢れており、また私が放置していた些細な疑問に対する答えも当たり前に転がっていたりと、まさに目から鱗が落ちる思いだ。
 本を読めば世界は何重にも広くなる。事実は小説より奇なりを目の当たりにせよ。

今日の英語:Book
 

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