日々の雑事をかき分ける超小型ブルドーザー

 母は基本真面目である。しかし大雑把でもある。一見相反する気質のようだが、母の人格の中ではそれが両立している。
 それを象徴する母の口癖が「いいってことにする」である。掃除であったり料理であったり、何らかの作業をそう言って半ば強引に完了させるのだ。決して極端に手抜きであったりするわけではない。ただ「もうあと一歩」くらいのところでそう宣言して終わりにするのだ。非常に母らしい。
 大雑把とも違う母の「いいってことにする」は、もしかすると「なんくるないさー」や「マイペイラン」に近いのではないのだろうか。しかし母は弥生顔で小柄な毒気のないおばちゃんである。母の実家が南方系ということも全くない。私が母を「地味な変人」と評する要素のひとつでもある。
 そうして母は「いいってことにする」と伝家の小刀で日々の事態をチクチク切り開いている。


今日の英語:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?