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むせるような霧におもう
引き続き先日歩いた橋について。
私は橋や鉄塔といった巨大構造物が好きだ。ダムはそこそこ興味があるがビルには感情は沸かない。その姿に実用性が見えてくるものが私の関心を惹くのかもしれない。
なのでライトアップやイルミネーションといった装飾にはいっさら魅力を感じない。遠目に観る街の夜景は、あのひとつひとつに生活や仕事があるといった感慨があるが、実用の存在を飾ったところで歪なものしか感じない。
鉄骨はそれだけで美しいのだ。支える維持するための鉄の骨格。そのトラス構造の中を歩くのは、銀砂の中から現れた恐竜の化石の中に立つ錯覚。
この橋は横から見た姿が向かい合った2頭の恐竜に喩えられるそうだが、私はその内部と後ろ姿をして恐竜に喩える。あのトラス構造は1億年前の肋骨の中。
けれどこの橋は霧の中でも霧笛を鳴らさない。
やがて時が過ぎれば、あの橋を踏み潰す生物が闊歩するだろう。
人間は古代の生き物に似せて橋を掛ける。いつか手に自分の骨を握る日、それまでに。
今日の英語:Truss structure
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