この世界を満たしているけど見えぬもの

 曖昧なものに途切れた輪郭を与える。
 私がこの日記を書く際に意識しているのは、限定させないこと。時や場所の範囲を明確にして「ここだけの話」にさせないようにしている。言い換えるなら、余白を多くして色んな人が共感できるような文章を目指している。
 乾いた土に水が染み込んでいくときの匂い、雲間から差す月の鋭利な光、動物の被毛の奥から届く荘厳な体温。そんな心臓の下の空間が震えるような感覚が好きだ。そういった体験は誰でもするだろうし、すぐに何とも思わなくなってしまうものでもある。それでも私はそれらをしつこく日記に書く。それらは永遠に名前を与えられることもなく無限に世界に生まれ続けているのだろうから。
 正体が不確かなものを描く技法を探す。言葉そのものがそうであるように。

今日の英語:Expression

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