狭い空間に対する理不尽と要求

 最近の公共のトイレはセンサーで水流が発生するものが多い。商業施設や飲食店などではセンサー式が9割を越えているのではないだろうか。センサー式であれば手の接触を減らすことができるし、何より流し忘れが発生しない。利用者へのサービスと清潔維持を兼ねて設置が進んでいるのだろう。
 そのことに異論はない。認知や視力が低下している人たちにとって自動で水洗を開始してくれる機構は生活の助けになるだろう。私にとっても、コックピットさながらの複雑なボタンが配置されている日本のトイレでボタンを探さずとも勝手に水洗してくれるのは非常にありがたい。しかしセンサーの位置や感度についてもう少し工夫はしてくれないものだろうか。
 センサー式のトイレに腰掛け沈思黙考していると突然水流が開始することがある。おそらく頭や肩の揺れなどで立ち上がったと認識されセンサーが作動したのであろうが、非常に落ち着かない。無防備な股間の下を勢いよく水が流れていくとスースーして体の芯が冷える心地がする。何より水がもったいない。こういったことが3回に1回は発生するのだ。センサーにも工業規格があるのだろうが、もう少し堅実なタイミングで作動するよう調整してくれないだろうか。落ち着いて沈思黙考できる時間を提供するのも顧客サービスだと思うのだが、私が無意識に珍妙な振動をしている可能性もぬぐえない。やはり自宅のトイレが一番だ。


今日の英語:Sensor

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