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オリアンティは、今日も。。。

車で、息子を迎えに行く時のことだ。
Apple MusicのマイFavoriteプレイリストを見つけたのは、1週間前のことだろうか、聞き馴染みのある曲たちが耳触りよく流れてくる。

社会人1年目に聞いたあの曲や、好きなアーティストの待ち時間に流れていた曲、たくさんの好きな曲たちが私の心の中で心地よく思い出を彩っている。

ふー。。。今日も疲れたなと、感情を自分の中に落とし込めて、ただなんとなく好みでなかったという理由で、曲をスキップしたその瞬間、強烈なベースギター音と
ともにいつかの悪い方の感情が走馬灯のように蘇った。

『あ、きたな。。。』

その曲が、私の感情に[ダダダ,,,ダダー!!!]と、
生きることへの意味を問いかけてきた。

「久しぶりだな、
オリアンティだ——」

アコーディングトゥユーというその曲は、2009年に発売された当初から好きな曲である。

しかしながら、その曲が発売された年から10年以上経った、
2020年12月23日、ある事件が起こってから、この曲は私の歴史からは切っても切れない1曲になってしまった。

【私の夫は、強迫性障害だ】

聞いたことがある人もいるだろうが、そんなの心の持ち用だとか、気にしなければ大丈夫、などと言う人もいるだろう。

しかし、私が妻として接する中で経験してきたそれは、非常に劣悪な顔の持ち主で、夫の思考を奪い、精神的に自身も、関わる相手をもどんどん追い込むという非常に厄介な猛威を奮い、家族の自尊心すら奪っていく凄まじいものなのだ。

だからこそ私は、この劣悪な強迫性障害と戦わなくてはならなかった。

しかし…しかしだ、
夫は自分を正常だと思ってしまっていた。

そして、医師をも賛同させてしまう謎の説得力で、私は夫の行動の全てを肯定しなければならないという、人間の自尊心が全て奪われてしまったような環境にいた。

誰に助けを求めることもできない。
私の家族が私のそのことを知ったら、離婚を促されるだろう。そして、彼は、突拍子もない行動に出るに違いない。

悪い方のそれを何度か経験してきたので、自分で最後にしなければという思いが強く、全てを私の中に押し込めて毎日を過ごしていた。


平然を装い、夫の凄まじい要求に毎日、心を疲弊させながら食らいついていた。

そんなある日、いや、ある日ではないのか、そう…例のその日、私はFace bookの過去の投稿で、オリアンティを耳にする。

必然的に、歌詞を見ながら心を震わす。

それは、必然であったかのように、
私の核心に働きかける、このままでいいのか?と、、、


オリアンティのギターは語る。。。

According to you....


According to you I'm stupid, I'm useless
あなたが言うには 私はバカで使えなくて

I can't do anything right
なにもうまくできないやつなのね
 
According to you I'm difficult, hard to please
あなたが言うには 私は堅物で気難しくって
 
Forever changing my mind
ころころ気変わりするような気分屋で
 
I'm a mess in a dress, cant show up on time
洋服も似合わないし 時間も守れないやつなんでしょう
 
・・・・・。


この冒頭の歌詞を聞きながら涙し、
今の私は、これだ、と感じた。


それと同時に、結婚生活で得るべき、心の平穏や、
そこにあるべき幸せな笑顔を想像すると、こんなはずじゃなかったとも強く思った。。。

その日、夫がいつものように帰宅後、すぐにシャワーを浴びる。

強迫性障害のルーティンをこなす、夫。

私も毎日の神経を尖らせる作業に付き合う。
彼のミスは、私のミスだ、怒鳴られ、使えないと言われ続けてきた。

しかし、その日、
一つだけオリアンティで心揺さぶられた私はミスをしてしまった。

赤子用のビニール風呂が、夫からすれば強迫症の引き金になるようなところに落ちていたのだ。

そう、風呂の床に。。。

なんだ、そんなことかーーーー!と、
この文章を見たほぼ全ての人は思うだろう

しかし、強迫性障害の夫は違う。

『あーーー!!』と

叫びながら、裸のまま、頭を抱え、どうしてくれるんだ、と怒鳴る。

そう、もちろん、私に向けて。

いつもは、S字フックにかかっている、赤ちゃんのバスタブが、どうして、こんなところに落ちているのか!

思考と、不安が止まらない夫。

『汚染されている床に落ちたかもしれないじゃないか!』


夫は裸のままソファに座り、私がしもべのように謝り、夫自身が、納得のいく答えを出すのを待っているのだ。

今日に始まったことじゃない、
これ、だけじゃない、ここに書き切れないたくさんの、普通の人間なら信じられないようなことが、
脅迫性障害の人の中では、思考として、起こるのだ。

そして、それは周囲の人間をも巻き込んでいく。

夫のそんな行動を夫自身は、"普通"と言い張り、医師も同調させた故に私の方が頭だおかしいのだと罵ってくる。

『そうか.....もう限界かな。
私は彼の世界で生きていくのはもう、無理かな』

それはそれは、
私の中のオリアンティが脳内で爆音のギター音を鳴らし始めた瞬間だ。

『こんな生活はもう終わり、、、』

私の中で、泣きべそ級に震え上がる決意がすっくと立ち上がり、
次の瞬間には体が動いていた、

『そうだ、この家を出よう』

ずっとずっと夫の言いなりで、
過ごしてきたこの家を出る決意が、オリアンティの脳内BGMと共に動き出した。

私は、まだうんともすんとも喋れない
生後4ヶ月の赤子を抱き抱え、

400Km以上離れた実家に向かった。

これが、私の初めての『反抗』だった。。。


夫は、まだ叫びながら
こちらを罵倒している。

そんな夫を横目に家を出たのだ。

私が私を取り戻すため。


そう、私が求めているのは、According to youに出てくる"彼"なのだ。

According to youの後半にはこんな歌詞がある、

But according to him I'm beautiful, incredible
でも彼が言うにはね 私は綺麗で最高だって

He can't get me out of his head
私のことが彼の頭から離れないくらいなんだって
 
According to him I'm funny, irresistible
彼が言うにはね 私はおもしろくて 抑えられないくらい愛しく思ってるんだって
 
Everything he ever wanted
私は彼がずっと思い描いてた理想の人みたいなの
 
Everything is opposite,
ぜんぶがあなたの言ってることと反対なの
 
I don't feel like stopping it
私も止める気になれないわ
 
So baby tell me what I got to lose
だって私に失うものが何かあるかしら?
 
He's into me for everything I'm not
彼は「私じゃない」私に夢中なんだと
 
According to you
それでもあなたは言うのよね


私は、もう振り返りたくないと思いつつ、
新幹線の出る駅に向かった。。。


この後、想像もつかないような地獄の展開になるとは知らずに、必死でベビーカーを押し、息を切らしていた....


つづく。
 




#強迫症
#強迫性障害

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