逆さまのプレゼント11話
ダイアモンド
ランニングシューズ
タケルは故郷を思い出した。
タケルは一歳下の、女性の社会福祉士と小さな頃の話をした。
寒い夜に、走ってみた。暖かいな。こんないつも悩んで、重くなっていた自分がこんな軽く感じるとは。
学生時代に運動してた頃は、当たり前過ぎて考えなかった。こんな軽やかに動けていたから、彼女や彼らとも握手できたのかな?
それは違うかな?調理パンが人気の売店、2時間目が終わって、休み時間の間に、買わないといけないため、そこでも競争した。とは思えば、好きな人や憧れの人が通り過ぎる時は静かに一歩一歩、歩いた。
図書室に行けば、いつもいる友人がいた。
暇な時はそいつに話しに行った。
って気づいてた?皆、靴の中で背伸びしてたんだよ。だからたぶん握手とかしたんだよ。
靴の中に隠れてた思い。
家に帰ったらおばあちゃんが履いてる靴がサイズがなかなか合わなかったこともあった。だから、歩きたくないという日も多かった。そしたら歩けなると想像して辛い感情に埋め尽くされた。
靴が合わないと悩みが大きくなる。
1日1日が、はっちゃけてた日もあれば、1日1日が来てほしくない日もあったな
これ以外にもいろいろ話した。
そのあとタケルは一歳下の女性の社会福祉士に伝えた。
今も社会福祉士という靴を履いている。すごくダサい言い回しだけど。
がむしゃらにこれまでやってきた。だけど、靴はピカピカなんだよな。
自分でさ、靴の中で何度足を動かしても背伸びしても、自分の足が疲れるだけ。
昔、社会福祉士に言われた。
「利用者と関わる時は、良い方向に行くと思って関わると良い」
「挨拶は基本、それは挨拶ができない人に対しても同じ」
それらは靴を磨く物だなと今は思う。
本当は、おばあちゃんに合った靴を探して探して見つけて、涙も笑顔も見ることが大切で。
本当は、握手した人とかの手を引っ張って、自分の気持ちを言うことが大切なんだ
そしたら、なんか疲れるよ。なんか汗はだくだくだよ。
だけど、その分、靴はボロボロになるんだよ。
その時に、誰かに私はこの前、旅行でこんなとこ行って、温泉に行って、美味しいもの食べて楽しかったよと言われたとして。
誇らしげに、俺はこの前、どこそこに行って、おばあちゃんの靴を見つけた。大切な人を呼び止めて気持ちを伝えたよ。って言えると思う。どこも行ってないけど。
その時に、優しい、大切な景色が見える気がする。
ボロボロの靴が、プラチナの切符に敵うと大人ならわかる気がする。わからない?
社会福祉士はそういう景色を見せてくれると思ったから目指した。
尊敬する社会福祉士はそういうことを伝えたかったのではないかと思う
だから、子どもが、靴をボロボロにしていると、すごいダイアモンドのように見える