日陰と日影
ボールペン物語 最終回
花を育てる時、花を例えば催し物で飾る時はいつ種を植えたらいつ頃には咲くと予想を立てる
何月には咲かせたいという期限、そういう風に制約の中、好きな花を選んだ。季節の花を選んでるがそれは好きな花を選ぶということではなかった。
花と言えば、パーティーに飾られてるものも浮かべるが、寒さや雨の中でも育ってくれた印象が強い。
パーティーの中、輝かしい人の後ろに自分が隠れる時もあれば、グラスの透明にさえ隠れる時がある。
僕だって誰かに話したいことはあっても、グラスに手を伸ばして、その言葉を飲み干すこともある。
その日陰の中にノートはあって、それに色をつけていくためにいろんな色のボールペンはあるのかもしれない。
それは過去にだって、未来にだって色をつけることができるのかもしれない。それは以前読んだライフストーリーワークという支援方法の本を読んだから浮かんだのかもしれない。
それは魔法のようなボールペンと言いたいわけではない
過去に辛いことやしんどいことがあって暗闇の中にいたとしても、そんな人がいても誰かがその真っ暗に写真を貼り付けてくれるかもしれない。
いや写真じゃなくて、一つ一つカラフルなボールペンで絵を描いて貼り付けているもの
そしてそれは、あのグラスが反射させた光とその時の気持ち、輝かしい人から教わったこと。そのモノが作る日影に隠されている。
それが僕自身の内にある強さでもあった
隠せない光は、この仕事をする中で見た可能性だ
その写真がその人にとって、思い出の場所や好きなものだったら、そう自然に思えたら、次はその人が今度はカラフルなボールペンを手に入れる番だ
あそこにだって、そこにだっていけるんだ
そんなある日、ある舞台の発表会をすることとなる。そして役割を決める。
舞台に立ちたくなくて、でも最終的に発表をするって言ってしまった。
そしたら練習しかないわけだけど、コーヒーを飲みながら、先輩と打ち合わせをした。なんで発表をする気になったの?不思議そうにしつつも応援してくれた。
その人は、したくなかったからこそ、したかった。だからアクションを起こしてくれた。
コーヒーを飲み干すと苦味はあるが、練習というものもそういう苦味があると感じた。
だけど、いつの間にかコーヒーが好きになるように、こんなことも好きになるのだろうか。
一つ言えることは、制約、やらないといけないものの中に1輪の花は咲くということだ
そしてそれは影や陰にかくれてるのかもしれない。
それがストレングスという私の好きな言葉である。