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ボウリング:怪奇! 会社に響く球の音色

 会社の廊下でボウリングをする妄想に取り憑かれている。

 朝、オフィスの自席に向かうとき。エレベーターから降りてまず目に入るのは廊下。サイドには二メートル、進行方向には二十メートルほどあるだろうか。そして私は毎日思う。

「ボウリング場じゃん……」

 耳をすませば、ボウリングの球がピンを弾き飛ばす音まで聞こえてくるようだ。私はその時ボウリング場にいて、機械から自分の選んだ球が上がってくるのを待つ。手には油を拭く布巾。少しの油が成績を左右するのだ……。

 胸の前でボールを構える。目線の先には非実在なピンの群れ。大きく振りかぶって、二、三歩おもむろに歩きだし、周囲に誰もいないことを確認し腕を振り下ろす。イマジネーショナルなボールは轟音を響かせピンを破壊! 最高! 手には自然とガッツポーズ! しかし周囲の警戒は忘れない。私はプロ・ボウラーであると同時に、一介の社会人なのだ。昼はサラリーマン。

 しかし長い直線をボウリングだけに使うのはもったいない。ということで、もっぱら併せて夢想するのはセグウェイだ。あの、立ってガーって動く奴。梟が乗ってるやつ。ポストキックボードと言われて久しいが、そもそもキックボードが一斉を風靡した(要すれば、一過性のブームでなく文化や手段として定着したか)過去があるかがどうかが疑わしい。況やポストそれがし、をや。 

 結論としては、めっちゃ疲れているのではないだろうか。ハイデガーの夢判断の分析が待たれる。いや、起きているから白昼夢なんだけど。余計タチ悪いわ。

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