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そりゃ、私だってキレイになりたいけど・・・

夏の話になるが、関東に住む友人A(男性)が久しぶりに帰省したので、共通の友人B(女性)も入れて3人で会うことになった。
梅田の茶屋町で入店したのは少し薄暗いイタリアンのお店。彼は食べる時以外はマスクをしっかりしていたので、「やっぱり関東は人が多いからマスク習慣が身についているのかな」「人前に出る仕事だから、慎重にしているのかな」などと心の中で思いながらも、たいして気にしてはいなかった。

パスタとピザを食べ、今度はゆっくりお茶でも飲みながら話そうということになり、店を出て下の階にあるカフェに入った。
注文したドリンクが運ばれてきて、彼がマスクを外した。
「これ、気づかんかった?」
彼が言うのでふと顔を見た。先ほどまでとは違い、店内が明るいので、細かいところまでよく見える。最初は何のことかわからなかったが、じっと見ていて気づいた。
「あっ!何それ?」
右の頬に小さな肌色のシール(絆創膏)が貼られているのだ。
「シミ取り行ってきてん」と彼は言う。
「ええ~っ!」
どよめく私とBさん。

いや、別にいいのだよ。50歳を超えた男性がシミ取りに行こうと、性別も年齢も関係なく、容姿に気を遣うことは悪いことではない。ただ、こう言っちゃなんだが、A氏はさほどおしゃれに興味があるタイプでもないし、黒縁の眼鏡と濃いヒゲの主張が激しすぎて、彼のシミなど目に入ったこともなかったので、「シミを気にしていたのか!」ということがまず衝撃だった。

聞けば、母親の紹介してくれた医院でシミ取りをしてもらったという。それを聞いていたBさんが「あ、あそこね!」と言う。
「Bさんも知ってるとこなの?」
「うん、前にAさんに紹介してもらって、私もシミ取り行ったから」
「へぇ~、そうなんや~」

シミ取りか……。
私にとっての「シミ」の悩みは、行儀の悪い夫がいつもこぼして洋服につけるシミをどうやって取るかということくらいで、自分の顔のシミをどうにかしようなんて思ったことがなかったから、軽いショックを受けていた。
みんなきれいになる努力をしてるんだ……。A氏でさえも!!(失礼!)

そういえば、他の友達でもエステに通っている人がいるし、私の姉はセレブしか行かないような恐ろしく高いエステにお金をつぎ込んでいると話していた。40歳くらいの男性カメラマンさんが全身脱毛を始めたと聞いたのも最近のこと。
美容男子なんて言葉もあるし、老若男女問わず「きれいになること」に時間とお金と労力を惜しまない時代のようだ。

一方、自分はといえば、普通に化粧水と乳液をつけるだけで、せいぜい時間がある時にシートマスクのパックをするくらい。昔は私も高い化粧品を使ったり、エステに通ったりもしていたが、いつの間にかそんなことに気が向かなくなってしまった。

改めて自分の顔を見てみると、この1、2年でぐっと老けたなと思った。
1年半で10キロくらい痩せたのだが、きれいになったかといえば、逆のように思う。二重あごがなくなった代わりに、首筋のしわやほうれい線の深さが気になり始めた。
これは私に限らない。若い時は痩せるときれいに見えるが、50歳くらいの年齢だと痩せている人のほうが不健康そうだし老けて見えるように思う。友達でも「最近ちょっと太ったー」なんて話している人のほうが若々しい。

そういえば、数年前までは初対面の人に実年齢を言うと「え~っ、全然見えないです!」と、お世辞も含めてだろうが、そう言われることが多かったのに、痩せてからは特に言葉にはされないものの、(まあ、年齢相応ね)という心の声が聞こえるような反応をされるようになった。
自分が「めっちゃオッちゃん」と思っている男の人に「僕と同世代ですよね?」なんて言われて、実際そうだった日にゃー、ちょっとショックで立ち直れなかったものだ。

なんだか焦る。
もしかしたら、50歳前後というのは、人生における「老い」との闘いの正念場なのではないだろうか。「美」との闘いと言い換えてもいい。
この数年をどう過ごすかで、「きれいなおばあさん」になるかどうかが決まってくるような気がする。

そんな焦りの中、昨日は友達とランチに行った。久しぶりに天心が食べたくなったので、小籠包がおいしいという中華の店を選んだ。
彼女と会うのは夏以来で、楽しい時間を過ごした。私は人と長時間しゃべるのが久しぶりすぎて、のどが嗄れてしまった。(普段声を出す機会が少なすぎて、だんだん声帯が弱ってきたようだ)

麺と炒飯、唐揚げ、小籠包のセット
1600円(税込)
帰って服を見たら汁が飛び散っていた。
こんなところにもシミが!
杏仁豆腐とお茶もついていた
お茶はライチ紅茶を選んだ


食べた後はカフェへ移動した。それがあのシミ取りが発覚したA氏と一緒に行ったカフェだったので、自然にあのことを思い出し、彼女に「何か美容的なことやってる?たとえばエステに行くとか……」と聞くと、やはり「前はエステ行ってたし、脱毛もしたし、シミ取りもしたことがあるよ。今はこういうのをやっていて……」と、何かしら「美」の取り組みがあった。

「なんでそんなこと聞くの?」と言うから、これこれこういうわけで、と事情を話し、焦っていることも伝えた。
そう、私だってきれいになりたいのだ。美容にお金も時間も労力もかけたい。だけど、今の私は「美容」より「健康」が大事で……。毎日飲むにんじんジュースやサプリ、週二回の鍼灸、それだけでも月に6万円以上かかっているのだ(ひぃ!)
生きるのに必死なのに、美容どころじゃない。これから別の治療をすることになれば、それも相当お金と時間がかかる。

最近は鍼灸の先生が「プレゼントするから飲んでほしい」と、5種類もサプリメントをくれた(1ヶ月半分)。自然由来のペプチド、何十種類もの野菜や果物からできた酵素、ビタミンCやミネラルなど。これがかなり高価なもので、タダでいただけることにびっくりしたが、ありがたく頂戴して毎日飲んでいる。この鍼灸院でも販売しているし、先生がおすすめするだけあって体に良さそうだ。

殺人的に不味いペプチド!
体には良さそうだけど


中華を食べながらその話も彼女にしていたので、私が「何も美容的なことができない」と嘆くと、彼女はこう言ってくれた。
「あ、でも、あの鍼灸でもらったサプリは健康だけじゃなくて、美容にも効くかもよ。しばらく続けたら顔とかに効果出てくるかも!」
確かにそうだなと思った。表面ではなく体の中からキレイになれるかも?
そんな期待をさせてくれた彼女に感謝した。(鍼灸の先生にも)

でも、もう少し元気になって、もう少し余裕ができたら、私もシミ取りに行ってみようかな。
とりあえず、これ以上老けこまないようにしないと。まずは気持ちから……だな。

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