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【治療日記2】治療スタート、入院1日目

今日から治療がスタートした。
キイトルーダは一泊入院して点滴するのだが、レンビマは朝ご飯の後に家で飲んでおくように言われていた。

初めての薬はドキドキする。
カプセルタイプの飲み薬なのだが、シルバーのごっついパッケージに入っている。こんな大きいの飲めるのかなと不安になりながら開けてみたら、ものすごく小さなカプセルが現れた。
「ちっさっ!」と思わず声が出たほどだ。(今度写真撮ります)

「この薬はとても効きます。副作用も起きません。私の味方です」
と自分と薬に言い聞かせながら飲んだ。
1錠10mgで、1日に2錠飲む。
ドキドキしていたが、そんなすぐに変化が起こるわけもなく、入院準備をして、夫に病院まで送ってもらった。

今回は個室がとれた。よかった~!
いつも通り、11時に入院手続きを済ませ、病室に入ったら放置される。
最初は不安になったり憤慨したりしていたが、もう慣れたものだ。さっさとパジャマに着替えてくつろいでいた。
そのうち昼ごはんが運ばれてきたので食べた。病院食がなんだか懐かしい。
特別おいしくもないが、メニューに「高野豆腐」があったのでうれしかった。高野豆腐が好きなのだが、最近は作る気力がなかったし、なかなか外食でも巡り合えない献立だからなぁ。
おかずは全部食べ切ったが、白ごはんだけ半分残した。

その後、薬剤師さんと看護師さんから治療の説明を受け、いろんな書類にサインし、熱と血圧を測って、午後3時前にようやく点滴がスタート。
この時点ですでに血圧が140を超えていた。朝家でレンビマを飲む前に測った時は130だったので、やっぱり上がるのかなと思う。
「点滴が終わってもう一度測るので、その時に上がっていたらお薬飲みましょう」と看護師さんに言われた。

さあ、点滴だ。
抗がん剤でもそうだが、「点滴」そのものは痛くもなんともないし、吐き気も出ないものだからしんどくないのだが、「点滴のルートをとる」という一番いやな作業が待っていた。
私の通う病院は大学付属病院なので研修医がたくさんいる。なので、この「点滴ルートとり」にはかなりの高確率で研修医があてられる。つまり、私は彼らの練習台だ。
細い血管に針を何センチも通すので、失敗するとこれがとんでもなく痛い。本当に恐怖でしかない。

今日はどうかなぁと思っていたら、やっぱり女性の研修医っぽい人が来た。
ああ……、終わった。
神様、どうか上手な人でありますように、と祈りながら腕を差し出したが、祈りはまったく届かず。左腕で2回失敗。
「利き手ですけど、点滴時間が短いので右手でもいいですよ」と、こちらから右腕を差し出したが、右でも2回失敗。
不幸中の幸いだったのは、この人が自分の失敗に早めに気づく人だということ。たまにこちらが悲鳴をあげているのに、無理やりぐりぐり針を通そうとする人もいるのだ。
すでに4回失敗していたが、痛みはそれほどなかった。(でも痛いけど)

両腕が絆創膏だらけになったのを見て、さすがにもう無理だと自分で判断されたのか、研修医さんは「上の者を呼んできます」と出ていった。このパターンで「上の者」が来ると、びっくりするほど「スッと」通る。痛みも最初のチクっとだけ。これが熟練の技なんだなと思う。
それで安心していたのだが、今日は研修医がすでに4回も失敗していたため、もう“良さげな血管”がなくなっていた。「上の者」も頑張って探してくれるのだが、なかなかいいところが見つからない。
「ここ、いきましょう」とようやく決めたのが、左手首の内側に近いところだった。もうやる前から嫌な予感しかしない。手首の内側って皮が薄くてすごく繊細なのだ。こんなところ失敗したら……と思うだけで怖くなった。

そして、案の定、失敗。今日初めて「痛い、痛い」と声をあげてしまった。大人だって、痛いと泣くよ。
で、結局、6回目の正直。左腕のひじに近いところに狙いを定められ、そこがなんとか入った。普通はとるような場所じゃないのでちょっと体勢がしんどかったが、痛いよりはマシだ。なんとかルートを確保できてほっとした。

キイトルーダの点滴は1時間もかからず終わった。心電図を見る器具も体につけていたが、特に何の副作用も起こらなかった。
胸に取り付けるとき、私の服をめくった看護師さんが「あ、それユニクロじゃないですか?」と聞いてきた。病院は寒いかもしれないので超極暖のインナーを着ていたのだ。「そうです。ユニクロの超極暖」と言うと、看護師さんが自分のズボンをまくりあげ、中のタイツを見せて「同じです」と言う。
色も生地もまったく同じだったので、私もそれを見て爆笑。「超極暖タイツもあるんですね」「私はインナーもあるって知らなかったです」とお互いに情報交換して、また笑った。

和やかな時間を過ごしていたら、主治医もわざわざ私の病室まで来てくれた。「どう?」「大丈夫です」「そうか、そしたらよかった」
忙しいのに顔を出してくれたことが本当にうれしかった。
点滴後、血圧が150を超えたと言うと「やっぱりそうか~。薬飲んでおいて」と言われたので降圧薬を飲んだ。
それ以外は今のところ何の副作用も出ていない。すぐに倦怠感や関節痛などが出るのかと思っていたので安心した。

しばらくすると、看護師さんが来て「これから回診があります」と言う。
あれだ、あれ。「白い巨塔」みたいなやつ。偉い先生を先頭にぞろぞろ歩いて病室をまわるやつ!
待っていたら、偉い先生がやって来た。ついてきた医者がパソコンのデータを見ながら私の状態を説明する。ふむふむと頷く先生。
何を言われるのかなと思っていたら、「あなたの細胞標本(手術の時に切除したもの)のデータからいうと、今日からやっている免疫療法は効いています。だからあなたも効くと思いますよ。がんばってください」と、意外にも優しいお言葉を頂戴した。

主治医も同じようなことを言っていたし、ますます希望が持てた。
最初は「白い巨塔や~」とかちょっとバカにしたように思っていたが、その言葉を聞いて、私はベッドの上で殿様にひれ伏す農民のように「(ははぁ~、)ありがとうございます(だ)」とお辞儀した。

夜ごはんは赤魚の煮付けや豆乳汁、あえ物など。またおかずは全部食べたが、白ごはんは半分だけ。
現在、18:40だが、特に副作用は出ていない。(こんな日記を書けているくらいだし)
今夜、このまま何もなく朝を迎えられますように。

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