不定期あれこれ(#009)

この間まで水道水が冷たく感じる程度に「春はまだ少し遠いな」と思っていたのに、ここ数日で急に春がやってきたように思う。冷たかった水道水は、その冷たさが心地よくなった。
まだ眠っていた桜も起きだしたかもしれない。

今日は休日で11時まで寝ていた。二度寝ではなく、昨日の23時頃から一度も目覚めなかった。
これがいわゆる「春眠暁を覚えず」というやつなのか。
夜に窓を開けていても寒くなくなったし、冬に比べて空気の質感が増したように感じた。窓の外から聞こえる車の走る音や風に揺れる葉の音は、なんだか以前よりも穏やかになった気がする。

僕の気持ちの変化に理由があるのかもしれない。

昨日はここ最近で急に仲良くなった人と、ドライブに行った。
目的地を決めずに相手を迎えに行き、そこで「日光に行こうか。」と決まり、車を走らせた。僕が遠くまで運転することも、家族以外の人を乗せて運転するのも昨日が初めてだった。
行きは疲れも感じず、助手席に乗る相手と楽しく談笑しながら運転できたが、帰りは疲労が出てきたのと下り坂が多かったことで相手の振ってくれた話題に対して上手く返事をして会話を盛り上げたりすることができなかった。
ペーパードライバーがいきなりの運転で長時間+山道を走ったのだから仕方がないといえば仕方はないのかもしれないが、せっかくの時間をもっと濃い時間にしたかったな、とは思う。それに僕の方からももっと話題提供ができればよかったと思っている。
反省。
良かった点と言えば、相手が日光に行けてとても喜んでくれたこと、事故なく運転できたことだろうか。(相手と二人でドライブに行けたことももちろんうれしい。)
うん、本当に事故がなくてよかった。
僕も楽しかった。相手がいなかったら絶対日光まで行こうとか、そもそも運転をするという選択肢すら生まれなかった。

そんなことがあったので、たくさん眠ってしまったのかもしれない。

会話をするといつも相手に話題の提供を任せてしまうし、聞き手に回らせてしまうことが多くて、それに気づくたびに自己嫌悪をしている。
反省をしても次の実践ができるまでに時間が空いてしまうことが多いから、また同じことを繰り返してしまう。

今回もそうだけれど、相手との距離の縮め方が本当にわからない。
1年近く前から顔は知っているけれど、ほとんど話したことはなかったし、どんな人なのか気にしたこともなかった。僕とは全く別の世界の人だなって思っていた。
それがどんなわけか1週間程度で意気投合して、ドライブに行く仲になった。

正直に言うと、怖い。
これが「勢い」で起きたことであって、もう今日には遠い昔の出来事のようになってしまうかもしれないことが。
以前あった出来事からも「勢い」だけは本当に気をつけろ、と自分に言い聞かせていたのに、「乗るしかないこのビッグウェーブに」と僕の中のビッグウェーブさんの言葉に乗ってしまった。

この4月からお互いの生活環境は変わり、名前を聞くことも顔を合わせることも、お互いのことを考えることも減るのだろうなと思う。
たった数日の出来事も、忙しい日々の雑務に埋もれ、「あぁ、そんなこともあったな」となってしまうのだろうか。
そうなってしまうことが怖くてたまらない。

ずっと人を避け、この世界から消えたくてどうしようもないと考えていた僕が、人から忘れられることにおびえている。

僕の精神は中学生のままずっと止まっている。