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ないならつくればいいじゃない


朝からドーナツを揚げていた。

お弁当は、昨日の残り物を詰めて、火を使うことなく完成させた。
いつもはそれで終わりなのに、冷蔵庫を開けるとドーナツの生地が眠っていた。昨日からか、いや、一昨日から眠っていた気がする。

寝かせすぎも良くないよなぁ、なんて思いながら生地を伸ばすことにした。子どもたちもまだ起こしてないというのに。


次男は食べ物にこだわりがある。食べることが好きで、お菓子が好きで、味が濃いものが好きで、私の料理はあまり箸がすすまない。
一緒に買い物に行きたがり、お菓子や好きな食品をカゴに次々といれてくる。美味しそうなものを見ると買ってくれるまでしつこく何度もうったえてくる。家にお菓子があれば全部なくなるまで食べ尽くす。お菓子がなければコンフレーク、ソーメン、そば、ラーメンを要求してくる。食べたい食べたい食べたい。

しんどい。正直、しんどい。

そこで私は「作ってみようか」と言った。
コロナ禍に新たにできた趣味はお菓子づくり。サッと作ってサッと食べたい自分のために作り始めたが、添加物もないので子どもたちにも罪悪感なくたべさせることもできる。

次男は意気揚々と「作る!」と言った。

そしてそれからも食べたくなったら「作ろう」と言ってきた。それはいつだって突然で、ど平日の夕飯の準備中だってお構いなしに、クッキーを作り始める。
ちょーっと、いや、かなーり邪魔。
まだ1人でできないこともあるので、私も結局手伝ったり、口を出したり、ストレスになるのだけど。空腹が原動力だから、やんわり気を逸らさせることもできずに、次男のお菓子づくりに付き合うことになる。

それでもできた時は、おいしいねってみんなでたべてるからやってよかったって思っちゃう。作ってる時のイライラも少し忘れられる。

今は、我が家の電子レンジが修理に出ておりクッキーが焼けない。だから今回はドーナツを作ることになった。
バターを使っているので、一度生地を寝かせないといけない。夕飯前に生地を仕込み、ご飯後に揚げることとなった。

が、次男のご飯が遅いので、そのまま数日生地を寝かし続けた。
それを朝見てしまったものだから、掘っておくこともできずに手を出してしまった。

気になったらやらずに入られない。
人間とはそうゆうものだよなぁ、なんて自分を肯定してドーナツを揚げはじめた。次男とやっていることは同じ。自分で完結できるだけで、やってることは全く同じ。
子どもってよく親のことを見ているな、とつくづく感心させられる。


起きてきた次男はドーナツに喜んでいた。私に怒られながらも一生懸命生地を作ったもんね。よくやった。

時計が気になったが、あまり見ないようにした。



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