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コミュ障でも一生のパートナーができるまで⑧

午前の授業が終わり、給食を食べ終わると昼休みがやってくる。
少し前まで、この昼休みは一人で絵を描いていたが、ここ数日は違ってきていた。

「シロちゃん!今日の昼休みは外で遊ぶ事にします!」
リサちゃんは気がついたら私をシロちゃんと呼んでいた。
「う、うん」
私が返事をするのを確認して、リサちゃんは迷いない足取りでグラウンドへ向かっていく。
「ねぇねぇ何してんの!?」
そう言って男の子達のグループへ直進していく。
そこには、アッキー、グッチーの他に小泉君と高橋君がいた。
全員同じクラスだったが、接点は無かった人も居る。
「何しようかって話してたとこ、てか女子は入れないよ」そう言って苦い顔をする小泉君。
当時では、こちらの反応の方が普通な気がする。
「良いじゃん、今日は運動したい気分なの!仲間に入れてよー」
断られてもめげないリサちゃんに驚く。
人に拒絶される事は辛い事なのに、私だったらきっと耐えられないと思う。
そして、私もそんな風に強くなりたいと思った。
「良いじゃん皆んなで遊べば」
グッチーは賛同者を求めて、アッキーと高橋君に目を向ける。
「俺は良いよー」
柔らかい笑顔で高橋君が賛同すると、「うん良いんじゃない?たまには」とアッキーもうなずく。
「女子入れて何すんの?」
小泉君は不満なようである。
「そうだなー女子1人ずつ分けてドロケイでもやる?」とアッキー。

ドロケイとは、泥棒役と警察役に分かれて行う鬼ごっこの様なものである。
泥棒役は警察役に捕まると、牢屋と定められたところへ入れられる。
牢屋は基本的にジャングルジムや、砂場など、分かりやすく、利用者が居ないスペースを使用する。
そして、同じ泥棒が牢屋に来て捕まった仲間にタッチすると脱獄できる。
時間内に泥棒が逃げ切れたら泥棒の勝ち、全員捕まえたら警察の勝ち。
シンプルだが、30分走りっぱなしになる為、なかなかの運動量だ。
そして、私はアッキー、小泉君、私の3人組の泥棒に振り分けられた。
小泉君は不服な様で「足引っ張るなよ」と私を睨んだ。
「うん、ごめん」と意味もなく誤ってしまう。
こうして、少し忘れがたい昼休みが始まった。

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