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山梔子(くちなし)

夏の気配の深くなった
朝を歩く

葉ばかりを繁らせた
山梔子の茂みから
その命を終え
褐色に朽ちたその白い花のあとも
いつしか消えていた

そこかしこに
その一瞬を叩きつけるように
一気懸命に降りそそぐ
蟬の声

と、すすみゆく季節の
忘れ形見として
世界が見逃して
たいせつに残していた
名残の山梔子

そのいち輪の真白に
きょうという日を託される

生きて

どんな風に生きようと

#詩 #poem #月音花声


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