夜中となか卯

家族が借金でぐちゃぐちゃになりそうなのが耐えられなくて100万円を現金で渡したら母親に「受け取れない」と泣きながら言われたことはあるだろうか。
行き場をなくした100万円をユニクロで買った半額になっていたトートバッグの中に直接入れて夜中に家を飛び出したことはあるだろうか。

深夜のなか卯に来た。
こんな時間でも人はいる、親子丼やカレーを食べている。1人の客がほとんどで、イヤホンをしながらご飯を食べたり足を組んでいたりドッグイートしてる人もいる。心地がいい。私も顎マスクしながらはいからうどんの並を食べている。
母が仕事の昼休憩から帰ってきてサッと作ってくれるうどんと全く同じが味がして嫌になる。
深夜に働いている人独特の雑な接客が良い、昼間なら嫌な気持ちになることでも深夜になるとどうも感じなくなる。夜中にサービスエリアで食べるご飯も同じ気持ちになる。
昔、兄が京都の大学に行ってるとき、よく家族で遊びに行った。帰りにサービスエリアで夜中にご飯を食べて帰っていた。私は1300円の和牛ハンバーグ定食ドリンクバー付きを迷わずに選んだ。他のみんなは500円ほどのお蕎麦やうどんを選んでいた。券売機の前で申し訳なくなったのを覚えている。

雑な仕切りの奥の厨房から働いている女の人の雑談が聞こえる。冬だというのにキンキンに冷えた緑茶。でも美味しい。2杯も飲んだ。
救われる時間が近くにあった。
明日はずっと楽しみにしていた音楽を聴きに行く。半年も前からワクワクしてたまらなかったのにまさかこんな気持ちで迎えるとは思わなかった。
午前中、レコードを買いに駅前まで出かけたのに。

たまらなく人生が嫌になったが、これからもこんな日が続いて行くと思うと諦めのようなものもある。
毎日少しづつ何かを諦めながら寝たりご飯食べたり人と付き合ったりするのだろうか。

正解がわからないまま、今はマクドナルドにいる。
考えてもわからないことは考えないようにしよう。あと少ししたら家に帰ろうと思う。

良い週末を。

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