希望と音楽

なんとか気持ちを立て直し、友人と半年前から楽しみにしていた音楽を聴きに電車に乗って隣の県までやってきた。
3月だというのに手がちぎれそうなほど寒いしパラパラと雪も降っている。駅の外に出て見た空がわたしの心のようにどんより濁っていた。

駅横の大きなショッピングモールでピンク色の靴を買った、この先この靴を履いてどこかへ行くのかはわからないがどうにか大丈夫になりたい自分への励ましからか買っていた。少しサイズは大きいが、小さいよりはいい。嬉しくて少し歩幅が広がった。
会場近くのカフェでウィンナーコーヒーとチーズケーキを食べて友人と少し話す。
彼女は音楽に明るい、うえにエンタメ知識の幅が広い。今日は大好きなR-1があるのにライブで見れない、と話してくれた。コントと漫才の違いがわからないわたしに丁寧に違いを話してくれた。うれしい、が未だにはっきりと違いがわからない。

ケーキを食べ終わって急足で会場へ行きチケットを見せ中にはいる、ホクホクと若いひとから中年の男の人まで彼女のライブを見にきていた。

いつも思うのだが、ライブで一番最初に手を挙げたり席をたったり出来る人はすごい勇気だ。

彼女のライブは凄まじい。
可愛らしい顔でケモノのように歌う、裸足で歌う。
いかついバンドメンバーをバックに抱えて凄まじいロックを叫ぶ。
そんな彼女が間奏で踊るダサいダンスやダサいポーズかなり良い。ダサくていいのだ。それが彼女の魅力なのだ。ライブ中盤で前列にいた女が、熱い、とニットを脱いでヒートテックになった。お腹が半分見えていたのだ、隣にいた男は肩より長いパーマのかかった髪の毛をぶんぶんと振り回して音楽を全身で受けていた。たのしい、今いちばんたのしい。本気でそう感じた。
オレンジ色の照明がぼんやりと遠くなる、濁る。特大スピーカーから聞こえる爆音が心地いい。この時間が終わる恐怖がある。

彼女たちがステージから去る時バラバラの拍手が鳴る。それからアンコールへと向かって拍手が一つになる瞬間が大好きだ。

明日からもこんな音楽とご飯と諦めを携えて生きていくね。

おやすみなさい

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