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ep. 5-1 : WTC Inc. 1994 autum

さて前回は「失敗と余白」について僕なりの解釈を添えてだらだらと書いてみました。

予想以上にInstagramなんかでも反響を頂きました。

やっぱりどことなく「服の在り方」みたいなものについて考えている人たちは少数ながらにもいて、その人たちの思いやWTC Inc.のフィルターを通じて言語化・再現化していくことは大事なのかもしれない!と再認識できました。ありがとうございます。

そんなこんなで、皆様"Find Your Location"できましたでしょうか??

WTC Inc.では各シーズンごとにテーマやメッセージを設けて、単なるアパレルブランドではなく、ファッションコンセプトとしての活動を行なっています。そしてそのコンセプトを実際に見て感じて着てもらえるためのアパレルプロダクト、という位置付けです。

今年の夏にWTC Inc.が表現したかったことが皆様に届いていましたら、この上なく嬉しいです!

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秋の思案


さて、時はすっかりと流れていき、もうすでに9月がこようとしています。早いですね。

9月10月といえばそうです、長袖の時期なのです。毎年WTC Inc.でもロンTeeのリリースをしているのですが、今年は長袖のカットソーのリリースはなしの方向で行こうと思案中。。

というのも、まぁ単純にWTC Inc.社員にとっても長袖の需要があまり無さそうというのと、今年の秋は少しリリースするアイテムにも少し変化球を織り交ぜていきたいと思っています。今までのプロダクトは僕のシルクスクリーンかワンシーンさんにお願いをする刺繍ものだったので、同じ枠内での生産環境ではありますが、ソックスや、キャップや、あれやこれや、をテーマに絡めていけたら面白そうだな〜と。知り合いのアパレル関係の人と喋ると、よくお金の話をされますけど、本当に儲けようとしてないので、自分が本当に作りたいモノだけをWTC Inc.の制服としてこれからも生み出し続けていきます。加えて、みなさんから頂いたお金(製作費+次回制作の研究代)は全て来シーズンの開発/サンプル製作費に充てていますのでご安心を!

1994 AUTUMN / WINTER 

では、改めてWTC Inc.のストーリーを進めていきましょう。

カリフォルニアの地での会社初の本格的なソフトウェア開発を行うのはWTC Inc.とBEG TECH(WTC Inc.のソフトウェア開発専用子会社)でした。1994年の夏開発の総仕上げとしてMacintosh OS、Windows OSに継ぐ次世代のOS「react」の製品化、商品化を目指し、日々悪戦苦闘を強いられていました。限られた人材とリソース、研究資金も底が見え始めていた時、部品調達のトラブルに直面します。

当時のシリコンバレーはハイテク産業こそ成長しているものの、その分競合を出し抜くための開発コストにかけるウェイトは他社ともに重くなっていく一方です。この時社員50名ほどのWTC Inc.も例外ではなく、スタートアップ産業にとって資金調達、安いサプライヤーの協力なくては製品化にこぎつけることはほぼ不可能でした。

そこでWTC Inc.が目をつけたのは、当時急速に技術力を高めていて、まだまだリソースが眠っているアジア。その中でも香港とソウルはハイテクパーツ集積産業のメッカとなっていました。

当時のアジアの状況と言えば、日本が1970〜80年代に技術力を集落し一足先にPanasonicやSONYといった世界的エレクトロニクスメーカーを輩出していったのち、80〜90年代に韓国ではLG、SAMSUNG、ヒュンダイといったメーカーや、香港では零細ながらも確かな技術力を持った、技術集約型企業がたくさん生まれていた時期でもあります。

アジアはよく働く、しかも賃金も安い、そんな噂を聞きつけたWTC Inc.は早速ソウルに「二星(イスン)」というICチップメーカーを、香港には「彩華技工有限公司」というトランジスタメーカーを立ち上げたのでした。

1994年の冬、本国アメリカではパソコンのOS開発、部品は香港とソウルでの海外生産という形で、WTC Inc.オリジナルOS「react」の商品化を目指すのでした。

これが秋冬のテーマになります。



初のアメリカ外テーマ

先述のWTC Inc.ヒストリーの通りで、今シーズンは「香港、ソウル」が舞台となります。

今回アメリカを離れてテーマを作ろうと思ったキッカケは、WTC Inc.が1998年で倒産してしまうことを踏まえて、ちょうどこの冬シーズンがWTC Inc.コンセプトとしての折り返し地点になります。なので、少しテーマ設定も飛躍させてさまざまなバリエーションを模索していく、そんなシーズンにしたいと思ったからです。

2都市が同時にテーマになるのは、一昨年の冬「デトロイト、シカゴ」をやった時以来になりますね。ちなみに昨年冬のテーマは南アメリカのBig Easyな街、ニューオーリンズでした。

そして、今回皆さんとシェアしたい"服の価値の再構築的"サブジェクトは、ルーツを知るということです。

その洋服や、はたまた身近な人、考え方などには、かならずルーツやソースがあります。表面的なデザインや性格、自分の考えだけでは到底分かり得ない 深い部分でのルーツ。それを皆さんに探して頂きたいです。

なぜ当時この国で服が作られていたのか、なぜこの生地が採用されていたのか、なぜ僕はあの子のことが好きなのか、いろいろな「なぜ?」をたくさん見つけて解決していってください。そうすればより深く、カッコいい人間やファッションスタイルになれるかもしれません。

普段古着屋にいって、何となく見ている服たちですが、ちょっとタグを覗いてみたり、ちょっと店員さんに疑問を聞いてみたり、そんな小さいけど大きなちょっとを積み重ねてみてほしいのです。


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まだどんなプロダクトがリリース出来るかは分かりませんが、毎年欲しい欲しいと言っていただけるスウェットシリーズは今年もやりたいなぁと思っています。

あとは古着ボディなんかで面白いものがあれば、積極的にリリースしていこうかと。WTC Inc.が実際のモノとして表現出来れば売れなくても良いんです。(笑)

あと、昨年の夏にやったCrew Cap、JAZZ CAPの再販も決定しています。ボディが廃盤になっていたのですが、数枚ゲットすることが出来ました。

9月中のリリースを目指していますので、最新情報はInstagram @bluegrk @wtc_technologyをチェックお願いします!


ではでは、寒暖差が出てますのでくれぐれも体調を崩さないように気をつけてくださいね!

冬服が楽しい季節はもうすぐそこにきています。

so close to you,
WTC Inc.

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