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高齢者になって、移住したいですか?

みなさん、こんにちは。

今年、新型コロナウイルスが蔓延したことで、リモートワークや、テレワークといったような、新しい働き方、もしくは、これまでも課題になっていても取り組んでいなかった働き方が実践されました。

その結果、テレビでは、今後、密を避けるため、東京圏の人や会社が、地方に移転、移住するのではないかと、騒いでいました。

僕は、この報道を冷めた目でみていて、そんなことにはならないと思っていました。

確かに、今や、会社に行かなくても、それぞれのパソコン端末から、クラウドにアクセスすることで、データの修正、保存、共有は、簡単にできます。また、会議についても、『会社』という箱がなくても、誰でも、インターネットを経由して、ネット会議を行うことができます。

しかし、それが出来ることと、会社が東京圏から移転することは、イコールでは、ありません。

やっぱり、東京圏には、国の政府や、官公庁が、集っているし、大きな会社はたくさんあるし、そのため、最新の情報や、イケてる人、サービスは東京に集まってくるからでいるからです。

このように考えると、いくら新型コロナウイルスの脅威はあっても、多くの会社や、個人が、地方に移転、移住することはないかなと思います。



実は、日本では、平成 28 年4月に、『改正地域再生法』が施行されました。このなかには『生涯活躍のまちの制度化のための措置』が盛り込まれていて、中高年者に新たな生活のなかで健康寿命を延ばし、人生をより充実できる機会を提供する取り組みです。(日本版CCRCというそうです)

簡単に言うと、次の住環境整備を目指す一連の取り組みのことを言います。

①希望に応じて「地方」へと移住しやすくすること
②多世代の地域住民との交流を深めること
③健康的かつアクティブな生活を送ること
④必要に応じて、医療・介護サービスが受けられること

これらの取り組みを見ても、別段、目新しいものはないのですが、①の地方への移住について、少し、掘り下げます。

実は、内閣官房の調査結果では、地方移住を希望する東京在住の中高年齢者が数多く、とくに男性の地方移住ニーズは、50代だと50.8%、60代だと36.7%に及びます。女性についても、50〜60代で約3割が地方への移住ニーズを持っているというアンケート結果がでています。

しかし、都市部から地方への、実際の移住者は、国勢調査の結果からみると、平成12年には、約40万人いた移住者が、平成27年には、約25万人と、15年の間に、15万人減少しており、移住ニーズとは、全く逆の結果がでています。

つまり、地方ののんびりした暮らしに憧れはするものの、実際に、人も、情報も、サービスもすでに集積している都会を捨ててまで、移住する気にはならないということです。

地方自治体は、ここを見誤らないようにしないと、国のいうように、東京圏からの移住者を取りこもうと、環境整備に多額の税金を投資すると、失敗することになるでしょう。

それよりも、地方が絶対にやらなければならないのは、既に住んでくれている人たちが、地元で楽しく、生き生きと暮らせるような取り組みをが必要だということです。

そのために、高齢者がもっている、経験やノウハウを活かして、まちづくりに参加してもらうような仕掛けは、絶対に必要になるでしょう。

また、健康維持の観点から、訪問看護や、遠隔医療が必要ならば、そこには、投資をする必要があるのではないでしょうか。

そして、その生き生き暮らしている高齢者の様子を、発信していくことが、これからは重要なのだろうと思います。

地方であっても、本当に楽しそうに、生き生き暮らす地元の方をみれば、東京圏から、移住したいと思われる方も出てくるかもしれません。そうなったときに、行政としては、相談窓口の設置や、空き不動産の案内などができるように、関係各所と協力体制を作っておけば、十分だと思うのです。

実際に、高齢者になって、これまで生活してきたまちを離れたいと思う人は、決して多くないでしょう。そのことをキチンと考えた上で、まちづくりをしないと、大変なことになりますね。

それでは、また。



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