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ロック史#15 : 80年代のメタル



またまた更新が遅くなってしまいましたっ!!!


前回はこちらから。

HR/HMの回でハードロックもメタルもほとんど同じものだと書きましたが、70年代は「ハードロック」が主なのに対し、80年代に登場する激しいロックのほとんどは「ヘヴィメタル」とよばれます(個人の感覚)。

強いて言うなら「ハードロック」は黒人のブルースをルーツとした泥臭いのを指すけど、「ヘヴィメタル」はブルースの影響が薄く、硬質でギラギラしてる。まさに"ロック=岩"と"メタル=金属"って感じ?




NWOBHM


New Wave Of British Heavy Metal の略。

パンクやニュー・ウェイヴは、それまでのHR/HMを"過去のロック=オールド・ウェイヴ"とした、ある種の対抗的なムーブメントでしたが、メタル界隈は70年代のHR/HMから音楽性が大きく変わることはなく、80年代に入っても英米から多くの人気バンドが登場します。

ここでいう「New Wave」とは"メタルの新しい波"、メタルの伝統を守ろうとする動きのこと(まあ結構パンクに影響受けてる感じもするけど)。

代表格はアイアン・メイデンデフ・レパード。これぞ元気なメタル、って感じで親しみやすいはず。

上 : IRON MAIDEN (1975-)
下 : Def Leppard (1977-)

同時期のジューダス・プリーストやモーターヘッドもイギリス出身(但しNWOBHMには含まれないらしい)。


LAメタル


前回紹介したヴァン・ヘイレンを皮切りに、アメリカでもメタルのバンドが人気を博すようになります。その多くがカリフォルニア出身のバンドで、日本ではよくLAメタルと呼ばれます。

例えばモトリー・クルーやクワイエット・ライオット、末期でいえばガンズなど。

Mötley Crüe (1981-2015, 2019-)

前回登場したMTVによってルックスへの注目も高まったロック。モトリーはKISSを彷彿とさせるメイクや派手なファッションで、お茶の間に大きなインパクトを与えました。グラム・メタルとも言われます。


ガンズ・アンド・ローゼズ

Guns N' Roses (1985-)

イジー・ストラドリン (ギター)
スティーヴン・アドラー (ドラムス)
アクセル・ローズ (ボーカル)
ダフ・マッケイガン (ベース)
スラッシュ (ギター)

他時期の主なメンバー
ディジー・リード (キーボード)
マット・ソーラム (ドラムス)

世界的に売れた王道メタルのバンドは彼らが最後かもしれない。1st『Appetite For Destruction』から凄まじい完成度で、長い時間をかけて全米1位を獲得。現在は7人組。

代表曲「Welcome To The Jungle」「Sweet Child O' Mine」「November Rain」「You Could Be Mine」などなど。


英米以外のメタル


AC/DC

AC/DC (1974-)

マルコム・ヤング (リズムギター、作曲)
ボン・スコット (ボーカル、作詞)
アンガス・ヤング (リードギター、作曲)
クリフ・ウィリアムズ (ベース)
フィル・ラッド (ドラムス)

他時期の主要メンバー
ブライアン・ジョンソン (ボーカル)
サイモン・ライト (ドラムス)
クリス・スレイド (ドラムス)

オーストラリア出身。上述のバンド達よりも先に売れてます。パンクに近い破壊力があり、アルバムセールスや熱狂的なライブパフォーマンス含め世界的な人気も絶大。

因みにボーカルは『地獄のハイウェイ』(1979) までがボン・スコットで、『バック・イン・ブラック』(1980) 以降がブライアン・ジョンソン。双璧をなす2人。

代表曲「Whole Lotta Rosie」「Highway To Hell」「Back In Black」「You Shook Me All Night Long」「Thunderstruck」などなど。



その他のバンドをかいつまんで紹介。

ドイツのスコーピオンズ(1965-)はバラードが良いの多いからメタルにしては優しめな印象(アルバムジャケットは全然優しくない)。


カナダ出身、3人組のラッシュ(1968-2015)はプログレ要素もあり。ボーカルがハイトーンすぎて最初女性かと思った。
この音楽性は少し後のドリーム・シアターらに代表されるプログレッシブ・メタルにも繋がります。

85年にアメリカでの契約を勝ち取った日本のLOUDNESS(1981-)は、LAメタルと遜色ない質感。2024年現在もほぼオリメンで精力的に活動中。


ハードコア・パンク


略してHC。メタル回なのにパンク?って感じですが、これが後のメタルに影響を与えます。

パンク・ロックからロックンロールの要素を排除し、暴力性・攻撃性を強めたジャンル(Wikiの表現参照)。

有名どころはブラック・フラッグ(1976-1986)。ハードロックやパンクには無い殺伐とした雰囲気。確実に90sのダウナーな空気感に繋がっています。

画期的だったのはバッド・ブレインズ(1977-)。メンバー全員が黒人で、日本でいうミクスチャー・ロックの先駆けにもなったバンドです。

HCの中ではメロディアスなバッド・レリジョン(1980-)。全盛期は90年代ですが、メロディック・ハードコアの草分け的なバンドとして挙げておきます。


スラッシュメタル


ちょっとここら辺は90年代にも入ってきてます。

これまで取り上げてきたメタルって、全部最高なのは前提として、アリーナ・ロックや産業ロックの空気を纏ってるというか、なんか緊張感が無いって言うと悪いけど…。

それでいうと、80年代後半に出てくるスラッシュメタルは、上述のNWOBHMやハードコア・パンクから影響を受けており、メタルの中でも特に激しい。でもメタルのパブリックイメージってここら辺の音楽性に近い気がします。スピード感があって、サウンドは凶暴で、世界観は暗くて…。

本ジャンルのBIG4とされるのはメタリカ、メガデス、スレイヤー、アンスラックス(いずれもアメリカ出身)。


メタリカ

Metallica (1981-)

カーク・ハメット (リードギター)
ジェイムズ・ヘットフィールド(ボーカル、ギター)
ラーズ・ウルリッヒ (ドラムス)
クリフ・バートン (ベース)

他時期の主なメンバー
ジェイソン・ニューステッド (ベース)
ロバート・トゥルヒーヨ (ベース)

スラッシュメタルの代表格。とはいえリフ物、バラード、オルタナなど音楽性は多岐にわたり、90年代ではスピード感を落として、パンテラらと共にグルーヴ・メタルという新たなスタイルを提示しました。

代表曲「Battery」「Master Of Puppets」「One」「Enter Sandman」などなど。


スラッシュメタルの登場は、デスメタルやドゥームメタルといった、よりダークな世界観のメタルに発展していき、比較的暗い雰囲気の漂う90年代のメタルの生き残りに貢献します。



今回はここまでです。

次回は日本の80sを取り上げる予定です(またまた遅くなったらごめんなさい)。


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