保育園からやって来た強敵「風邪」

 以前、華々しく?保育園デビューしたことを報告したが、その裏で始まった病気の相次ぐ来週についても残しておきたい。物事には良い面ばかりではなく悪い面も表裏一体存在する。
 ゴールデンウィーク後、数日通園してから、ひなちゃんは鼻水が出るようになり、翌日には熱も上がり、保育園を休むことになった。
「ちょっと鼻風邪の子が増えておりますので、お気を付けください。」
という園長先生の忠告も空しく、ひなちゃんも御多分に漏れずしっかりもらってきたのだ。
( まあ、軽い風邪ならすぐ治るだろう。病院で見てもらっておこう。)
と愚かにも私は軽く考えていた。あの時の能天気な私に拳骨の1つでも入れておきたいぐらいだ。
 病院で、コロナや、インフルエンザ、溶連菌、アデノウイルスと様々な検査をしたがどれも陰性で「風邪」という診断がついた。
 結局数日間症状が落ち着くまで家で過ごすことになったが、体調不良で少なくともいつもの五倍は、気が短く怒りやすくなっているひなちゃんのお世話は思っていた以上にハードだった。
なにしろ、良かれと思ってアイス枕を頭の下に置けば
「あかーん、あかーん!!!」
とわめき散らし、アイス枕を放り投げてしまう。
 少しでも食べやすい物をと思い、うどんを出せばまたしても
「あかん、あかーん、あかーん、あかーん!」
とサイレンが発動し、お菓子の入っている棚を指さしカステラやおっとっとをねだる。
 十倍増しの理不尽な要求に対応し続けなければならない。こちらにも限界が来る。
「え?あかんくない。あかんくない。全然あかんくないから!ほら、とりあえずお茶だけは飲んでくれるかな。」
と私も応戦する。
 最終的には、椅子の上に立ち上がったり、お皿をひっくり返したりとひなちゃんが実力行使に出ることにより私たちが負けてしまうことが多い。
 最も気力体力共に削られるのは病気時の体調管理だ。
 常に呼吸はできているか、苦しそうな呼吸音に変わっていないか、熱は上がっていないかと、ひなちゃんの声を聴き体に触れ体温を測り、匂いを嗅ぎ、常態把握に努める。次にそれら感じ取った情報をもとにどのタイミングで解熱鎮痛剤を使うか、どうなった場合に病院を再度受診すべきかと様々な考えを巡らせる。本当に気が気ではない。ひなちゃんの体が楽になって欲しいという思いは勿論あるし、自分自身も安心したいという気持ちもあり、ただただ
(早くよくなれー)と念ずるばかりであった。
 そうして、どうやって1日1日を過ごしていたのか鮮明に思い出せない日々が過ぎ、無事熱が下がると再びひなちゃんはにこにこと、保育園に通い始めた。
 (一件落着?)
と思ったのもつかの間、次の日、今度は私と夫がほぼ同時に喉の痛みや体のだるさを感じ始めたのだ。暗転した画面に「第2ラウンド」という白い文字が浮かび上がってきたような気がした。
 私たち大人の残念なところは、熱が出ていようが頭が痛かろうが、家事やひなちゃんのお世話を休めないところだ。
 もしも、親が風邪など体調不良の時に家に来て家事育児を代行してくれる「いいから寝ときや」システム的な物があるなら、確実に課金し速やかに利用を開始するだろう。
 もはや私たちの感染も、想定内とあきらめ、必須アイテムの一つ「ロキソニン」を活用し、熱を抑えながら日々の家事育児をこなした。
 熱が数日で下がっても、体のだるさや咳は全然消えなかった。
(ひなちゃんが1週間くらいで治ったから、私たちもそれぐらいで…。)
と思っていたのだが、私たち大人の症状は2週間たっても改善されなかった。
 子どもに取り付いていた、風邪さんベビー的な物が、大人に乗り移った瞬間にラスボス感満載のスーパーサイヤ人的な風邪に真かし猛威を振るって来るのはなぜなのだろう。
 子どもに出た症状の比ではない。割と高熱があってもひなちゃんはうろうろ歩き回ったり、大好きなアンパンマンをテレビで見ていたりしていたのに、私たち大人は布団からほとんど動けなかった。
 咳や鼻水も止らず、何度か耳鼻科に通い、夫など蓄膿症に発展し、さらに病院通いが続くはめになってしまった。
 こんな日々を「保育園の洗礼」と一言では片付けられない。いつ終わるとも知れない難行苦行だ。
 3週間が経過し、エアコンの清掃をしなければという話になったころ、ようやく私たち大人は体の回復を実感し始めた。
 (いつも通りの生活がもどってきたかな?)
と思いながらひなちゃんを保育園に送り届けて帰ろうとしたその時、園の先生から
「あ、昨日手足口病の子が出ていますので、お気を付けください。」
と不穏なお知らせがもたらされた。
一瞬思考がフリーズした。
(え?一つくらいかからないやつだってあるよね?いやあってほしい!あるべきだ。)
という心の叫びが届くことは無く、数日後にはまたひなちゃんの体温はぐんぐんと上昇し始めた。
私は半べそかきながら、マスクをし、週末会う予定にしていた人々にキャンセルのお詫びメッセージや、リスケのお願いメールを送るべくスマホの画面を動かし始めた。
 保育園でたくさんの風邪にかかることは、強固な免疫システムを獲得するために、避けられない、ひなちゃんにとっては一つの重要な通過儀礼であることはよく分かっている。だからこそ私たちもロキソニンを携え白目をむきながらこの戦いに挑み続けなければならないのだ。
保育園入園と共に始まった家族全員強制参加型、超ハードバトル「風邪」は第何ラウンドまであるのだろうか?

この記事が参加している募集

#育児日記

49,519件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?