生まれる前から!そしてこれからも!

 今月でついにひなちゃんは1歳を迎えた。
 この1年ひなちゃんが元気に育ってくれたことを何よりも嬉しく思い、心から感謝している。
 今回はいつかのために、ひなちゃんが生まれた時のことを書き残しておきたいと思う。
 ひなちゃんが生まれたのは、秋晴れの空が広がった暖かな日の夜だった。
「赤ちゃんの頭が出ますよー。」
という助産師さんの声とともにひなちゃんはするりとこの世界に誕生し、
「フニャー、フニャー」
と泣き始めた。
 私はひなちゃんの初めての声を聴き、
(あー、生まれた。元気だ。良かった。)
と心から安心したことをよく覚えている。
 それから、助産師さんに生まれたばかりのひなちゃんをお腹の上にそっと載せてもらった。
 私は、ひなちゃんのか細いながらもパタパタと力強く動かす手足や、体の割に大きな頭に触れた。コロコロと丸く、ツルツルしたお腹の真ん中には、へその緒を止めたプラスチックのクリップが付いていた。
 ひなちゃんの声を聴き、小さくて暖かい体に触れ、とても大切で大きな命が誕生したことを強く実感した。
 パパはその日1日中何をしていてもそわそわと落ち着かず、病院からの電話を待ち続けていたそうだ。夕方入った看護師さんからの連絡で一目散に病院にかけつけ、ひなちゃんの誕生を私の隣で見守ってくれていた。
 ひなちゃんが生まれた瞬間から
「おめでとう、頑張ったね」
と私とひなちゃんに何度も繰り返していた。
 それからパパは面会時間のぎりぎりまで、ひなちゃんのパタパタと動かし続けている手や足を触り、嬉しそうに話しかけていた。
 助産師さんや看護師さんは
「とてもかわいい赤ちゃんですよ。」
と教えてくれ、私たちの代りにたくさんの写真を撮ってくれた。
 面会時間が終わると、パパはひなちゃんが生まれたことを家族や友人に伝えるためあちこち電話をかけて回った。
 1件1件メッセージや電話を入れる度、みんなひなちゃんの誕生を喜んでくれたようだった。
 思えば生まれる前からたくさんの人がひなちゃんの誕生を楽しみにしてくれていた。
 私のお腹に向かって
「おーい、速く出てこーい!みんなが待ってるぞーー!!!」
と大きな声でお腹の中のひなちゃんに話しかけてくれた私やパパの友達、私たちのために両親学級を企画してくれた病院の助産師さんたち、ベビー用品の買い出しに付き合ってくれた友達とそれぞれの人が励まし、知恵を貸し、手を貸してくれたのだ。
 ひなちゃんが生まれてからも家事援助に来てくれるようになったヘルパーさん、様子を見に来てくれる友達、ひなちゃんの成長をいつも楽しみにしてくれているおばあちゃんやおじいちゃんとたくさんの人がいる。
 私の願いは去年と変わらず、ひなちゃんが元気いっぱい笑顔いっぱいに成長していってくれることだ。
 ただ、大きくなると、楽しいことだけじゃなく、悲しいことや寂しくなるようなこともたまにやって来てしまう。そんな孤独感にさいなまれた時には、ひなちゃんの周りにいるパパ・ママ代表の大きな「ひなちゃん応援隊」を思い出してほしい。

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