ひなちゃんの四方山話その5 『おり』

ひなちゃん:ひなちゃんです。3月に入り、日中温かい日が増えましたね。私も心地よい風に誘われ、ベビーカーでお出かけするようになりました。
といっても、ママやパパの買い物について行ったり、ママとママの友達と家の近くを散歩するくらいです。
 私も季節が変わるにつれだんだんと成長してきましたよ。ふとした時、寝返りができるようになって、この前何て足と手をバタバタ動かしたら体が数10cm動いたんです。
 そうそう、私が寝返りをしたら急に大人たちがいそいそと部屋の模様替えを始めました。床にプニプニしたジョイントマットを引いたり、机の角に柔らかいゴムをくっつけたり、テレビ台の柱にクッションを張ったり。
緩衝材も家具を止める金具も、最近は100円ショップで揃うらしいじゃないですか。
「プチプラ、プチプラ」
と言ってママが喜んでいました。「プチプラ」って何のことでしょうね。おまじないの一種ですか?
 そんなことより、模様替えについて私一つ怒っていることがあります。大人たちが台所の入口におりまで付けよったんです。台所に私を入れないようにするなどと話していました。
こんな幼気な0歳の赤ちゃんを仲間外れにするなんてあんまりじゃないですか?もうすねました。
でもま、いいですよ。大人たちは私が台所に入れないことで安心しているようですが、私からすれば大人たちがおりに自ら入り、閉じこもってゴソゴソしているのを滑稽に思いながら見ているだけですから。私は1人、リビングを自由に動きながら指をチューチューしつつおりの中の大人たちを眺めることにします。
なんだか動物園みたいですよね。大人たちがおりの中の生き物で、私がおりの外にいる見物人です。大人たちはあれこれと部屋を改造して、いったい何を目指しているのでしょう。

母: 春は私の最も好きな季節です。温かくてワクワクしますね。お出かけしたくなります。
 ひなちゃんは体をしっかり動かして、少しずつ移動できるようになって来ましたね。嬉しい反面心配でもあります。
予期せぬ場所に入り込んだり、移動中に椅子や机で頭をぶつけたりする可能性も高くなるからです。
そこで私たちの仲間たちに協力してもらいながら少しずつリビングをひなちゃん使用のお部屋に変えております。私の友達に
手伝ってもらい、椅子の脚や机の角に緩衝材を張り付けてもらいました。パパの方のお爺ちゃんにはテレビが倒れないよう台に専用のチェーンで固定してもらいました。
最も大きく変わった点は、台所の入口にベビーフェンスが付いたことです。台所には包丁やポット、電磁調理器炊飯器と、危険物がたくさんあります。そのため、ひなちゃんがけがをしないよう誠に勝手ではございますが、台所への立ち入りを固く禁じることといたしました。悪しからずご了承ください。
母も父も、慣れるまではベビーフェンスの存在を忘れ、うっかり
「ドガシャーン!」
と激突することが多々ありました。このベビーフェンスも私たち3人と強力なサポーターが一緒にリサイクルショップへ買いに行き、持って帰って組み立ててくれた物です。
 このように、たくさんの人の眼や手、知恵を借りひなちゃんのベビールームを作り上げてきました。本当にありがたい限りです。
模様替えの過程からも分かるように、私たち3人の生活はたくさんの人の手を借りることで成り立っています。ひなちゃんの誕生、そして成長の土台にも一人一人の優しさがあります。大きくなっても覚えていてほしいことの1つです。

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