10 二人の時間 / はるか

 結局生むまで胃のむかつきや吐き気、嘔吐、だるさといったつわり症状は続いた。さらに後期にはそれに加え腰や骨盤の痛み、息苦しさなどの症状も加わった。まったく、妊娠期特有の症状フルコースである。そんなものはじめからオーダーしたつもりなどなかったのだが。
それでも嘔吐にさいなまれる日やほとんど食べられない日は五日から六日に一日と、軽いジャブ程度になった。妊娠初期から中期にかけての眠れないほどのボディーブローをまともに受け続けることもなくなり、とても嬉しく感じた。
妊娠8ヶ月に入った頃には一日に数時間程度の外出ができる日も増えた。夫と近くのカフェに行ったり友人が遊びに来てくれたりと、気分転換ができるようになった。
一般的には遅いのかもしれないが、ベビー用品をそろえ始めたのもこの頃からだ。学生団体でお世話になった先輩が、車でベビー用品専門のリサイクル店にも連れて行ってくれた。
また一日に一つか二つベビー用品を決め、夫とお店に見に行った。もちろんネットでも用品は容易に買える。しかし私たちは画像や簡単なレビューで商品の様子を確認することができない。
そのため、だっこひもから哺乳瓶用ブラシに至るまでほとんどのものを店で実際に確認し購入した。私たちの場合店に行き、店員さんから使用方法の説明を受け、実物に触れ大きさや質感を確かめるプロセスはとても重要なのである。
こうして2ヶ月近くかけ、お産のための入院バッグまで整えることができた。もうすでに10ヶ月、正期産の時期に差し掛かっていた。
(続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?