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母のしてくれたこと

7月中旬以降、急に忙しくなり、以前ほどnoteに費やす時間が取れなくなっています。8月になったらまた余裕ができるのですが、7月最後の日に少し書いておきたくてパソコンの前に座りました。

私の母は昨年、脳の微小梗塞による認知症と診断されました。それまでの数年間、運転のスピードが落ちて時速20kmくらいでしか運転できなくなったり、私と待ち合わせしていたことを忘れたり、3分前に言ったことを何度も何度も言うようになったり、同じ野菜などを続けて買って冷蔵庫にその野菜ばかり溢れるようになったり、といろいろ兆候はありました。病院に行くのを嫌がっていましたが、どうもこれは放置しておけない、と思い、昨年ようやくMRIで脳を診てもらった次第です。

母は血圧が高く、狭心症持ちで動脈硬化も進んでいることから、脳梗塞も起こっても不思議ではなく、微小梗塞による認知症と聞いた時も私はあまり驚かなかったのですが、これから母はどうなるのかな、という不安は今でもずっとあります。

1日に2回ほど電話で話し、週に3-4回は会うようにしています。まだ私の固定電話の番号は覚えているので、母からも電話はしてきます。父と暮らしているので、だいたいのことは父も手伝って支えてくれているのですが、やはり男の人にはわからない部分があり、「やっぱり娘が一番わかってくれるから」と言って、父に対する愚痴をよく言ってきます。それが同じことの繰り返しでも何も言わずに聴くようにしています。

昨日は晴れたと思ったら急に激しい雨が降ったりして、洗濯物を濡らしてしまった私が、コインランドリーの乾燥機に走ろうかな、と母に言うと、「うちの乾燥機使ってよ」と言ってくれたので、実家に濡れた洗濯物を持って行きました。実家の乾燥機に放り込んで待っている間、少し母と話をし、その後駅前の用事をしてまたあとで戻ってくるよ、と言い残して私は駅前へ。数時間後また実家に戻ると、夫のワイシャツ5枚にピシッとアイロンがかけられていて、普段着のシャツのほころびた袖口もきれいに繕われていました。「え~っ、暑いのにこんなにアイロンかけてくれたの?しかも袖口まできれいに繕ってくれて!」と言うと「そんなことしたかしら、もう忘れたわ」と言う母。午後はいつも疲れて昼寝をしないとやってられない母なのに、ずっと起きてアイロンがけや繕いものをしてくれてたんだ、と思うと、じーんと胸にこみ上げるものがありました。

口には出さないけれど、母はきっと、まだできることがある限りしていこう、と思っているらしく、そして誰かの役に立つことがあったら嬉しいという思いもあるらしく、ピシッとアイロンのかかったシャツを並べた母は少し自信を取り戻したかのようでした。

以前は使えた携帯電話も昨年頃から使い方がわからないと言って放置してしまい、いろんな友人に迷惑をかけたり、離れていった友人もいたみたいで、今の母は孤独でしかたがない様子ですが、その孤独を埋められるのは今は家族しかいないんだろうな、と思います。

限りある母との時間を大切にしていきたい。母がしてくれたことを覚えていたい。

そう思いながら、今日も私は実家に走ります。





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