寝顔を見つめる

運転免許証の更新に行くと言っていた息子がなかなか起きてこないので、

寝室にのぞきに行く。

何度起こしても深い眠りに落ちているらしく、

気持ちよさそうに寝息をたてている。

しかたなく部屋を出ようとして、また振り返り、

しばし息子の寝顔を見ていた。

ちっちゃい時はママ、ママとあとを追いかけてきていたのに、

今はもう無精ひげをはやしたおっさんだ。

息子は最近、失恋をしたらしい。

失恋の一つや二つ、なんてことない、と思いつつ、

こうして寝顔を見ていると、

「決してイケメンではないけど、性格はいいのにな」なんて思う。

その恋が成就していても、きっと母親としては新たな心配もあっただろうけど、

今はちょっとかわいそうに思えたり、

ホッとしている自分がいたり・・・

思えば、息子の寝顔を見つめるなんて久しぶりのこと。

一人暮らしを始めて、もう二年経つ息子はめったに帰ってこなくなった。

でも失恋してちょっと里心ついたか、帰ってきた。

まだまだ人生これからだからね。

きっとそのうちいい出会いもあるよ。

今、この時を感謝して。

さて、本格的に起こすとするか。