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オフィス家具業界で売れているのは、ワークブース、オフィスチェアー、ロッカー 。

昨年の5月にテレカンに最適化したワークブースメーカーとしてオフィス家具業界参入を決めて1年。この業界についていろいろとわかってきたので、軽くまとめてシェアする。

売れているのは、ワークブース、オフィスチェアー、ロッカーの3つが中心。苦戦しているのが一人用デスク。

Zoom、Teamsなどを知らなかった非IT企業もテレワークによって強制的に経験させられ、テレカンツールは”使える”という認識を持った。またIT企業はアフターコロナもテレワーク体制を維持する方向でオフィスの固定席の廃止、オフィス面積の縮小によってオフィスには人がいないといった状況になった。このため対面営業が激減。テレカンファーストの営業が日常化した。

このためリモートワークをしていない企業もテレカンが必須となった。テレカンは声を出す必要があるため個室が求められ、結果として会議室が占拠され会議室不足問題がうまれた。この課題解決のために注目を集めたのが1人用の個室として使えるテレカンに最適化されたワークブースだ。

昨年の5月時点ではテレホンブースメーカーが3社程度しかなかったが、わずか1年でテレホンブースよりも若干広くPCを拡げられるテレカンブースがうまれてきた。それも既に20社前後にまで増えている。4月にビッグサイトに開催された”働き方改革”の展示会は、まさにワークブースのための展示会になっていた。この結果昨年150〜180万円程度の価格帯が現在は50〜60万円と1/3まで下落している。熾烈な価格競争によってわずか1年で薄利多売の商材となった。

現状としてこの状況下で一人勝ちしているのは、自動消化装置メーカーと内装材メーカー。

ワークブースは本来、天井があるため消防法的に居室扱いとなり建物についているスプリンクラー設備を天井に施工しなとダメなのだが、ワークブースのために消防法の特例が出て、消防庁が認めた特定の自動消化装置をつければ、設備工事を免除するということとなった。このため各社ともに、全く同じ特定のメーカーの自動消化装置をつけることとなったためだ。

また、同じく消防法で内装が不燃である規定があり、かつ、テレカンブースに必要な吸音性能の視点でのチョイスの結果、各社ともに全く同じ特定の内装材メーカーの商品を使うこととなった。
結果としてワークブースメーカーではなく、ワークブース部品メーカーが1人勝ちの構図となっている。
ちなみに、弊社もワークブースメーカーとしてわずか1年だが、早くもUV-C除菌システムおよびIoTクラウドロックシステムなどのパーツの取り扱いも開始した。

UV-Cは数秒〜数分で除菌およびウイルス除去ができる(結果論だが特にコロナウイルス紫外線に対して弱いことがわかった)ので、不活化までに数時間から数日の時間が必要なコーティング剤よりも使いやすく確実であるが、直接浴びると人体に影響があるため、あまり居室には使われていない。弊社のシステムはUV-Cの殺菌線量をきちんと評価して設計すると同時に居室で安全に使えるようにするために人検知センサーによる安全装置を実装した点がミソとなっている。UV-Cは除菌の他消臭機能もあるため、コロナ収束後も不特定多数の人で共有する場合に、ユーザーからの需要は無くならないはずだ。
クラウドロックシステムは、スマホやPCからテンキーによってドアの開閉を制御できるシステムとなっており、個室ドアに予約システムや課金をしたい場合に使えるので、その使途は広い。さらに遠隔電源と組み合わせる事によって、ドアの開閉だけでなく、室内照明や換気扇を制御することもできるため、利用時間を経過しても居座りつづけたりしないように部屋の電源を全て落とすといったことも可能だ。

いずれもカスタマイズベースで受託開発として受けているのでスクラッチ開発よりも安く提供できるので、お気軽にお問い合わせいただきたい。

オフィスは急激に縮小がはじまり、都内のオフィスは空きが目立ってきた。とくにIT企業の解約はすさまじく、1/4ぐらいまで縮小する企業が相次いでいる。その結果、中古オフィス家具販売業社は、倉庫に入らない量のオフィス家具が入ってきており、買取はほとんど行われなくなった。特に固定席撤廃にともなう1人用デスクは余りまくっている。
むしろ倉庫代をもらえないと引き取らないといった状況だがオフィスチェアーだけは売れている。テレワークによって、自宅での作業が増えてきたことによって、ダイニングチェアーやソファで8時間のタスクをするのがつらくなり、長時間の着席に最適化されたオフィスチェアを個人で求める人が急増したからだ。
ちなみに、ロッカーは、対面せずにモノの受け渡しができるツールとしての需要と、固定席をなくしてフリーアドレスに移行する企業がスタッフ用に用意するとった2つの切り口で需要が増加している。

また原価についても大きな変化が起きている。木と鉄の不足だ。木は一足早く経済が回復に向かっている中国と米国でテレワークによる郊外移住組の住宅購入需要が急増。いわゆる”ウッドショック”だ。アジアを中心とした木材メーカーは品質に厳しい日本をスキップして、中国、米国への輸出を優先。その結果、日本に木が入ってこないという状況となっている。安かったホワイトパインが杉よりも高くなっているとのことだ。
また、鉄もコンテナ物流の遅延、停止などによって入ってこないという状況となり、高騰がつづている。
木と鉄はいずれもオフィス家具の主要な材料なので、オフィス家具業界は売上も原価も激動の状況にさらされているというわけだ。


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