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7/11 大好きなカフェ

わたしは高校から東京にある学校に通い出した。

ほどよい田舎にある実家からのその道のりはちょっとした旅のようで、
よくあんなに毎朝早く起きて長時間電車に乗れていたものかと思う。

高校の友だちは東京にずっと住んでいる子もいれば、
わたしのように他県から通っている子もかなりいた。
中には新幹線通学している子も。となると、遊ぶ場所は大抵東京。

中学時代までは東京まで出るとなると、
電車の窓から見える、都会へと移り変わる景色によくワクワクしたものだ。
なのに、わたしはそこへ毎日通っている。しかも遊び場所も東京になる。
高校1年生、15歳のわたしはなんだか得意げだった。

昔から散歩の好きだったわたしは、
同じく散歩の好きだった友だちと授業が終わるとよく散歩した。
散歩好き同士が集まると、散歩の距離は散歩の範疇を超える。
かなりの距離を毎回歩いていた。

このカフェもそれで見つけたような気がする。
表参道にある「ブレンズコーヒー」。
ずっと「ブレンツ」と呼んでいた。
「ブレンズ」って読むのは最近知りました。ごめんなさい。

高校時代はミルクにいろんなフレーバーシロップを入れてもらって飲むのが好きだった気がする。
あとはベルギーホットチョコレートのダークチョコレートの方。

窓際の白いカウンター席に腰かけ、友だちと2人で窓の外を行き交う人々を眺めながらよく話していた。

「ねえあの人、イケメンじゃない?」
「ちょっと、あっちにもイケメン!」
「えーそうかな。あっちのがイケメンじゃない?」
「わ、またイケメンいた。どう?」

大半はイケメン探しをしていました。。そんな他愛もない話ばかり。
今でも覚えているというのは、幸せな時間だったからだと思う。

わたしはこのカフェに、高校を卒業してからも通い続けた。
友だちや先輩、好きな人、いろんな人とここに来た。
大学の試験勉強やパソコンでの作業をするのにも、
このカフェでするのがとても落ち着いた。

社会人になってからも仕事に集中できないと、
ここに行くことを最初に思いついた。
そんなこのカフェが今月末でなくなるという。

劇的な時間をここで過ごしたわけでもない。
けれど、わたしはたくさんの日常をこのカフェで過ごしてきた。
これからもわたしの人生の小さな点はここで打たれていくものだと、当たり前のように思っていた。とても悲しい。
日常が日常であり続けることはないのだと、実感する。
だからどうしたらいいとか、そんなことは何も思いつかないのだけれど。

何気なくよくいく場所は、自分の人生と想像以上に結びついている。
もしかしたら住んでいる部屋、学校、会社よりも自分の人生を支えるものなのかもしれない。



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