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#138 ガンバファン兼サンガファン、そして春〜このジレンマを12年待っていた〜



冒頭から非常に気持ち悪い喩えをしよう。
私はブログもTwitterも、ガンバ大阪兼京都サンガFCのファンという立場で運営している。
私にとってこの両者はなんなんだろう?とふと思った。


とある街から京都に引っ越し、サンガを愛し、サンガを応援し続ける事は、サッカーに興味を持ったあの時点で遅かれ早かれそうなる運命だったと思う。
そもそも私は、サンガという存在が無ければサッカーという入口に手をかける事が無かっただろう。私にとってサンガは、サッカーへの扉を開いてくれたような存在だった。

じゃあガンバは?
「テレビで見た日本代表戦で活躍している選手がいる」……その一点だけでチャンネルを合わせた試合は、開かれた扉の向こう側を更に明るく、鮮やかに彩る存在となった。
2005年のガンバ大阪vs東京ヴェルディ1969……サッカーを通じて受けた初めての衝撃があの試合だった。サッカーへの扉を開けたのがサンガなら、ガンバは私をサッカーにのめり込ませた存在だった。

私にとってサンガとは家族や親戚のようなもので、ガンバは友人や恋人のような感覚なのかもしれない。
前者の出会いはどこか必然で、後者は巡り合わせが全てだった。それだけに偶然のような巡り合わせは尊いし、必然の出会いは大切に感じる。

この2チームがそれぞれJ1とJ2を優勝し、私のサッカーライフとやらはそこから始まった。例え拙くとも、それが私にとって人生の快楽だったのである。


よく聞かれる事がある。


「ガンバとサンガが試合した時、どっちを応援するの?」

正直なところ、それはその状況によって変わる。
例えばどちらかに「勝ったら◯◯」「負けたら△△」のような条件が付いている時は、状況が緊迫している方に肩入れするし、スタジアムに行く時はホームチームのユニフォームを身に纏おうと思っている。
だが、どちらのファンでもある事は結局隠せない。だからどちらかが負ける事はどちらかが勝つ事と同義になる。要するに私にとって、100%の悲しみもなければ100%の喜びもないのだ。兼業ファンのジレンマとは、つまりはそこにある。



だが、私が12年間、ずっと待ち焦がれていたのは他でもない、このジレンマだった。
2013年の対戦は正直、サンガファンの視点で見れば「ガンバ大阪ジャパンツアー2013」みたいな感じだったから、それをカウントしようとは思わない。友人に上記の質問をぶつけられた時、私はずっとこう答えていた。「(J1とJ2で)棲み分け出来てるから」と。ひと笑い取れればいいくらいに思っていたが、やはり本心ではもう一度、スタジアムであのもどかしさを感じたかったのだ。

今日、最高のスタジアムで、12年ぶりとなる舞台で、大好きなチームが、自分の薄い人生に彩りを与えてくれた2つのチームが激突する。
ずっとこの日を、ずっとこのジレンマを待っていたのだ。上で書いたように、この試合の結果に対して私は100%喜べないし、100%悔しがる事も出来ない。人によっては、この状況の何が面白いの?と思う人もいるだろう。だが、このジレンマに酔える事、この京都サンガFCvsガンバ大阪というカードをJ1の舞台で再び観られるという事そのものが、私にとっては既に120%の喜びなのである。


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