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#167 落ち込む権利を俺にくれ-東京オリンピックのチケットが当たってからパーになるまでの記録-


ブエノスアイレスで行われたIOC総会で「トキョオ」と口にしながらカードをめくったあの時、この未来を果たして誰が予想しただろうか。

すがっていた期待は、そのチケットが意味を持つ2週間前に単なる文字と化した。


チケットを応募したその日から付けた日記は、元々東京五輪が終わる頃からゆっくりと自分のブログで更新するつもりだった。チケット争奪戦から観戦に至るまでの記録程度で考えていた日記はいつしか「チケットホルダーの葛藤と悲哀」というやけに壮大なテーマの日記となってしまい、その立場で見たコロナ禍の有象無象…呑気だったはずの日記はいつしか期せずして、備忘録としての意味を持ってしまったようにも思う。

このコロナ禍を、そしてコロナ禍で開催された五輪どう見るのか…全ての人にとって様々な見方と意見があるだろう。
世の中にある事の全てはトリックアートと同じで、どこから見るか、どこに視線を向けるかで見え方はまるで変わり、そこに100%の正解と100%の間違いは基本的にはない。このコロナ禍を、そして五輪を…五輪のチケットを持っていた立場にはどう映っていたのか、いち人間の感想として、この日記を読んで頂きたい。


2019年11月24日(日)

ガンバ大阪vsベガルタ仙台の試合を観に行った。とりあえずガンバ大阪のJ1残留は無事決定。ここ最近は復調気味だ。
明日はJ2、柏レイソルvs京都サンガFCの試合もある。サンガにとってはPO進出をかけた最終戦。ここに来てラスボスのような対戦相手ではあるが、ここ2年は手を触れられなかった舞台に手をかけられる場所にはいる。

夜中には海外サッカーをTVで見る。
それまでに風呂にも入っておきたい。だがその前に、今のうちにやらねばならない事がある。


東京五輪のチケット申し込みである。


東京五輪なんて気が付けばもうすぐそこまで迫っている。私は第1次販売も1.5次販売も呆気なく落ちた。
現状、全滅…全滅である。

…正直なところ、東京・横浜・埼玉で開催される試合が当たるとは最初から思っていなかった。決勝?3位決定戦?準決勝?どうやったら取れんだ、あんなの。
そこで私は横浜や埼玉での試合も申し込みつつ、観光も兼ねて札幌か宮城開催分のグループステージを狙う方向性で行こうと思う。
…行こうと思うっていうか、その方向性で落ちたんだけどね、1.5次。へっへっ。

組み合わせはまだ決まっていないが、まず日本戦が札幌や宮城に割り当てられる可能性は低い。だが五輪サッカーのグループステージは基本的に1枚のチケットで同グループの試合を2試合観る事が出来る。 4チームもいれば大体1つは強豪国が入る。チケットは当選したら当選分全てを買わないといけないので、グループステージは札幌、加えて決勝トーナメントをいくつか…という組み合わせで申し込んだ。
日曜日の夜中、確定ボタンに親指が触れる。これを外したら次は先着販売らしい。ロシアW杯の時のように、恐怖の先着販売にはもう参加したくなかった。怖すぎて。

あとは12月18日の結果発表を待つだけだ。
「二度あることは三度ある」「三度目の正直」…人生とはどちらを信じて生きていくべきものなのだろうか。

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