ハロウィンバイトは魔女とともに
バイト帰り、家の近くで魔女のコスプレをした女を見かけた。ハロウィンは月末だし今日は平日だぞ、一体どんなパリピだよと思ったが、よく見ると自分の先輩だった。
「先輩はハロウィンではしゃぐタイプとは対極だと思ってましたよ」
何の気なしにそう言うと、「実は実家が魔女の家系でね」と帰ってくる。いつもこの調子なので、正直この人は苦手だ。
「ところで期間限定で割のいいバイトがあるんだけど、興味ない?」
「嫌な予感しかしませんけど」
「お、ちょうどいいところに」
先輩がおれの肩越しに何かを指差すので、はあ?と振り向くと、カボチャ頭の骸骨が巨大なフォークを振り上げていた。おれの耳をかすめて火の玉が飛び、カボチャが爆発する。地面に落ちたフォークが鈍い音を立てた。
「これで2000円。簡単だろ?」
涼しい顔で言ってのける先輩の手のひらに妙な文様が光る。
「あまりにも言いたいことが多すぎて何も言えねえス」くくっと先輩が笑った。
【続く】
(追記)タイトル画像には https://unsplash.com/photos/ed5KySP1tfQ を使用しました。
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