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織元さんを訪ねて 遠州木綿「池沼織工房 千織」

 私のはじめてのお仕立て着物は、木綿の七色シリーズの黄緑。私の年齢からすると、明るい色で、少々若作りと思われるかもしれないが、その頃、着物初心者だった私は、どーしても、明るい色が欲しかった。

 その頃通っていた着物教室では、先生や他の生徒さんに合わせて、紺の絹の紬や嫁入りに持たされた色無地や、訪問着を持って行った。どこの着物教室でも、木綿やウールは、推奨されない、というか、存在すら認められない雰囲気が、正直ある。

 私は、普段着の着物を、洗える木綿を着たい。着付けの先生や、母の意向ではない、自分の意志で自由に決めた色。それが、七色シリーズの黄緑色なのだ。

 名古屋の呉服屋さんで、仕立て、着物熱が高まった頃、コロナ禍で移動ができなくなってしまうと思ったが、少し落ち着いた頃に、千織さんを訪ねた。

 こじんまりとした工場は、樹木に囲まれていて、機織りのガシャガシャと音を立てている。ここから川を見ることは出来ない。天竜川沿いと言う訳でもなく、50年に1度の集中豪雨で、工場が水についてしまったそうだ。そして、また水害にあったそう。
 
機織りの機械は、ただ汚れで、汚れをとるだけではなく、水を含んで膨張してしまうので、大変なのだとか。無事、復興し機は動いている。

 機械ばたとと一口にいっても、その手前の準備もとても手間をかけている。白い糸の巨大ロールから、小さな綛に柔らかい糸から、機織りに向くように、糊付け、それらを細いそうこうに通していく。

一つの反物に、これだけ職人さんの、体力と手間がかけられている。本当に感謝です。

 遠州木綿の良さは、木綿なので、家庭で洗える。かわいいポップな縞柄から、大人の渋い縞柄まで、バリエーションが豊か。
 そして、織が進化していること。木綿なのに、角度を変えると光沢が出て来て、絹のような光。これは、女性の身体の曲線を、きれいに見せてくれる効果があります。
 もっと、ハッキリ言うと、着痩せ効果が、期待できます。
 綿の、扱いやすさと、絹の光沢のハイブリットと言ったら、言い過ぎかしら?やはり、通販ではわからなかったことが、反物を見ることが良いことだと思えた。

 令和になって、千織さんの工房にも活気が戻ってきた。子ども達が、校外学習で訪れている所を見ると、ホッとする。

 初心者に優しい、反物。千織さん。
これからも、頑張って〜。


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