初恋という狂気の日々 第三十二章〜三十三章

第三十二章 解消

それはGWも明けて数日が経った 体育の授業での出来事だった
体育は隣のクラスと合同で行われる為 隣のクラスにいる絢辻さんとも関わる場面が時たまある
なので、私はいつも喋れる機会を探りながら体育の授業に出席していた

その日も❨喋れたら良いな〜❩という具合に期待しつつ 絢辻さんの方は流し目で見た
最初は絢辻さんは愛嬌さんと二人で楽しく喋っている雰囲気だったが、数十分後に様子を確認すると途中から他の人も加わって複数人で喋っていた 

それだけなら良かったのだが、どうも絢辻さんが他人事でその輪に入りきれてない感じがする。最初は気のせいだと思っていたが、どこか壁を隔てられている様に私には見える。

だからといって 私がズカズカ話しかけに行くとなると、周りの目線からして絢辻さん的に気まずく感じる可能性があるし、何より思い込みだった時のリスクが大き過ぎる。

どうしたものかと 考えていると、近くに温厚さんと美人さんがいて自然と修学旅行の班行動等の話題で喋る流れとなった。その時 私はハッ!と気づいた

この状態(3人で話している)で 絢辻さんがこちらの会話に入ってくれば、孤立した状態は解消される 



その状況を作る為 私は喋りながら、絢辻さんの方にアイコンタクトを試みた。そうすると数秒後に絢辻さんと目が合う。最初 向こうは“え?”という反応で私の意図には気づかない。 けれども少しすると、意図に気づき 安堵した表情でこちらに近づき話しかけてきた。そうして最終的に私の考えが成功したのであった。 

授業も終わり 皆ぞろぞろと教室に戻る途中 絢辻さんがしれっと周りに聞こえない感じで話しかけてきた 「そこまでしなくて良いよ…ありがとうね」
その時 私も察して あえて知らないフリをして「え?何もしとらんぞw ってかこの間の〜」と普通の会話をしだす

その時の様子を温厚さんが見ていたのだが、何かを納得したような表情でこちらに微笑んでいた

第三十三章 広い視野と長期的な目線

自分の学校では、中学3年生になると今年の抱負 
目標的なモノを学年の前でスピーチを行う (多分 義務教育最終学年だからだろう)

そのスピーチは毎月 誕生日順に行われる その為私の順番は早かった

私はスピーチのテーマで迷うことはなかった

では 何にしたのか? それは進級してスグに掌返しをしたり、新たな発見をしたコトに関してである。

内容としては「目先の情報や利益だけに囚われずに、広い視野と長期的な目線で物事を考えるべき」といった感じである。 随分と抽象的で中身が薄っぺらいと自覚はあるものの、私の中で温厚さんに対する偏見とその掌返しは相当 強烈な出来事で書きやすいと思ったからだ。結果として スグに内容は書けたし、当日も問題なく進行した。

スピーチを終えると、時刻表くんが話しかけてきた「君の内容 どう考えても実体験でしょw あの掌返しを抽象的に上手く書いたなw」
さすがに掌返しの件を話した彼にはバレるかと私も苦笑い 
しかしながら まさかそれ以外の人にもわかるはずもないとタカをくくていたが“なんと 別の人にもバレてしまったのである”


では誰にバレたのか?


答えは絢辻さんである

わかった経緯としては 絢辻さんと会話をしてる流れで、スピーチの話となった時だった
絢辻さんが笑いながら質問する「この間のスピーチ もしかして今までと一変して温厚ちゃんの評価が上がったこと?w  相当 温厚ちゃんのこと気に入ってるのねぇ〜w」
私は焦る「え? あ… やっぱりバレたかw そりゃだって 今まで批判的に見ていた自分が恥ずかしいからな それでいて ここまで仲良く出来るとは思っていなかったから尚更よ」 
絢辻さんの茶化しは止まらない「気に入ってるのは否定しない……と」
私は困惑する「いや その気に入ってるって言い方は好きじゃないなぁ…… もうちょい違う言い方があるでしょ」 
笑いながら絢辻さんは返す「まぁ私と違って彼女は優しいからさ そこは安心しなって」 
私はまた困る「いや別に 自虐する必要ないでしょ」

そうして会話は終わった

この記事の時点での時系列 中学3年生 春 出会って五年以上


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