見出し画像

おいしい焼酎入門

若い人がお酒の話をすると、みーーーーんな日本酒やワインやビールの話をします。いや、全部うまいんですよ...?でもみんな焼酎をスルーしすぎじゃない...?

いや,言わなくても分かります。「芋臭くて嫌い」とか「アル中っぽい」とか「柏星人w」とか言うんでしょ?でもね,もしコンビニで買った適当な焼酎を飲んでそんな風に言ってるなら,それは本当にもったいないことです。

「芋臭い」は特に言われることですが,芋焼酎にも色々あり,臭いばかりでもありません。例えば富乃宝山はクリアなあたり口で香りも柑橘類と評される代物で,焼酎の独特な風味が苦手な方でも楽しめること請け合いです(「芋焼酎なのに柑橘系・・・?」と思ったら,まずは一度試してみましょう!)(でも「芋臭い」のだってハマると結構おいしいんですよ...)。

加えてめっちゃ安い!1000円前後で買えることが多く,授業料が免除されない5.5%の大学院生でもかなりおいしい焼酎を楽しむことができます。他のお酒だったらこうはいきません。

かくいう僕も大学生の頃には,安さ故に様々な焼酎に手を出しました。友人が持ってきてくれた「三岳」をきっかけに焼酎にハマり、気付くと飲んだ焼酎の種類は200種を超えていました。家には常に50本程度の焼酎の瓶を溜め込み(ヘッダ画像参照)、引っ越しの手伝いに来た家族から、「死ね」とのお言葉をいただくに至りました♨

そんな訳で今回は,僕が飲んだ中でおすすめの焼酎について語りたいと思います。特に専門家でもない上に,昔の記憶を引っ張り出しているので諸々うろ覚えで,今となっては「しょうちゅうぜんぶおいしい!!!」になっていますが,細かい知識の抜けは大目に見ていただけると助かります♨  

ちょっとだけお勉強

面倒だったら「まずはこれを試そう」まで飛んでもらっても大丈夫です。

焼酎の製法

焼酎の分類というと芋・麦といった原材料に目が行きがちですが,個人的には同じくらい製法に目を向けるべきだと思っています。

そもそもお酒を造るには酵母を用いて原料をアルコール発酵させる必要があります。この段階で止められるワインや日本酒やビールは「醸造酒」と呼ばれます。一方の焼酎は「蒸留酒」と呼ばれるグループに属し,醸造の後に蒸留によってアルコール度数を高めています。このジャンル分けではウイスキーやウォッカの仲間です。

焼酎の蒸留には大きく分けて「連続式蒸留」と「単式蒸留」があり,前者によって作られたものを「甲類」,後者によって作られたものを「乙類」と呼びます。大雑把に言って連続式蒸留は機械を使って何度も繰り返し蒸留を行う方式で,雑味の少ないクリアな味わいに仕上がります。「大五郎」なんかはこちらに属します。対する単式蒸留は手作業に近い方式で蒸留を行っており,原料の風味を残した仕上がりになります。乙類焼酎のなかでも一定の基準を満たしたものを特に「本格焼酎」と呼びます。

よくわからないまま甲類焼酎を飲んで焼酎が苦手になってしまう人も多いようですが,個人的には甲類はチューハイのように割って使うものだと思っています(昭和40年代の第一次焼酎ブームは飲みやすい甲類焼酎によってもたらされたものなので,そう思ってるのは僕だけかもしれません...)。今回皆さんに試していただきたいのは,作り手の個性がハッキリ現れる本格焼酎なのです...!

原料/麹の種類

 焼酎の原料には芋・麦・米・栗,茶,しそ....などたくさんありますが,麦・米・芋の3つがオーソドックスです。大雑把に言うと「麦焼酎は比較的飲みやすい」「米焼酎は圧縮した強い日本酒」「芋焼酎は芋くせえ」というイメージです。今回は皆さんの印象が悪そうな芋焼酎を中心に取り上げようと思います。なぜなら僕が好きだから,もとい「これぞ焼酎」といった味わいを楽しんでいただきたいのです。

さて芋焼酎の発酵には主に黒麹白麹黄麹のいずれかが用いられます。この違いも味わいに大きな影響を与えます。黒麹はThe 焼酎といった感じの骨太なうまみが特徴です。「黒霧島」「黒伊佐錦」等,焼酎の名前にやたら黒がつくのは麹の色に由来しています。白麹はキレとまろやかさが特徴で,黒麹のものよりは飲みやすい印象です。そして黄麹はすっきりとした味わいが特徴で,前述の「富乃宝山」のようにクリアで特徴的な焼酎は概ね黄麹によって仕込まれてる印象です。

飲み方

焼酎の飲み方にも種類があります。そのまま飲む生(き)の他,ロックや水割り,お湯が代表的でしょうか。また,原酒やハナタレ(後述)の様な度数が高い場合の飲み方として「バーシャルショット」なんかもあります。

個人的にはまずは生を楽しんでもらいたいなぁと思いますが,氷が解けるにつれて味がまろやかに移ろっていくロックも,ホクホクとした芋の甘さと香りを楽しめるお湯割りも,全部おいしい!!!!ラベルによって合う飲み方も変わりますが,大雑把に言って黄麹はロックか水割り,白麹や黒麹はお湯割りがおいしいイメージがあります。

余談ですがお湯割りには作法があり,お湯を入れた後に「お湯:焼酎=6:4」になるよう焼酎を注ぐのが正しいらしく,そのための目盛りが入ったグラスなんかもたまに見かけます。でも個人的には細けぇことはいいから飲んでみようぜ!というお気持ちです。


まずはこれを試そう

さて,やっと本編です。それなりに飲みやすくて,それでいて焼酎らしさが出ている初心者おすすめの焼酎をピックアップしてみました!リンクも貼っておくので気になったら即ポチりましょう!

三岳(みたけ)

画像5
昔鹿児島で撮った写真

「焼酎を一本飲んでみたい」という人にまず進めたいのが屋久島芋焼酎の「三岳」です。とりあえずこれを飲め。僕が焼酎にハマったきっかけの一本でもあります。すっきりして異常に飲みやすいロックも,柔らかい口当たりと香ばしさを兼ね備えたお湯割りも抜群の安定感を誇ります。かつてはプレミアで3000円~だったのですが,増産体制が整ったらしく,今は1000円台で購入できます。コンビニやスーパーで見かけることも増えてきました。ほんと最高...!


兼八(かねはち)

画像4
友人宅で焼酎パーティした思い出

(いっぱい並んでますが左端の子です)

とりあえずこれを飲め,その2。非常に香ばしく上品な麦焼酎で,初心者おすすめ筆頭その2になります。麦焼酎のイメージが「いいちこ」になっている人が飲んだら衝撃を受けるのではないでしょうか。個人的には芋焼酎を推していきたいのですが,こいつと「百年の孤独」は本当にうますぎる...!本当は「三岳」と比べてもこっちの方が万人受けするかもとは思うのですが,未だにプレミアがついていて,三岳に比べてお高いのですよね...。とはいっても値段も3000円台まで落ちてきましたし,飲み屋で試せば数百円で楽しめます。ぜひロックでどうぞ!


晩酌におすすめの焼酎

次は1000円前後で毎晩楽しめるおいしい焼酎を!(黒麹ばっかになってしまった...)

黒伊佐錦(くろいさにしき)

バナナに例えられる濃厚な香り,飴のように強い芋の甘み,黒麹らしいガツンとした風味,どれをとっても最高です。1000円くらいでコンビニで買えるしマジでおいしいしで,晩酌のお供にするならこれが良いと思われます。本場鹿児島では黒霧島以上の定番として定着しているんだとか(個人的にもこちらの方が好みです)。お湯割りでもロックでもおいしいですが,個人的にはお湯かな!

黒七夕(くろたなばた)

あんまり目立っている印象がないのですが,この価格帯だとトップクラスです。というか驚くべきことに価格が1000円を切っています。ふくよかな甘みと焦がした様な香りが特徴です。個人的にはお湯だと思うんですが,お湯かロックかで昔友人と論争に発展した記憶があります。お好みで♨

金に糸目をつけない人向け

最後に,個人的ベスト焼酎を3つお届けして終わろうと思います。

きろく むろか

画像4

マイBEST3番。蒸留後の濾過の過程を省くことで,本来の甘みや香りを残した無濾過焼酎。無濾過故においしく飲める時期が非常に限られていて,焼酎の出回り始める11月頃しか口に入らないレアな焼酎です。黒木本店酒造制作の「きろく」は,強烈な味わいを誇る名作焼酎ですが,この「むろか」は芋の味が素朴で優しく,濾過の有無でこんなに違うのかと驚いた記憶があります。お湯割りで柔らかい香りと甘みを楽しみましょう!

百年の孤独

画像2

マイBESTの2番目は,同じく黒木本店酒造の麦焼酎(この酒蔵さんは本当に天才で,どの焼酎をとってきてもマジで美味しい....!)。かつての天皇陛下も楽しんだという,お値段もアルコール度数もお高めの一本です。香り高く,華やかで,その癖どこかまろやかで,味わいはウイスキーによく似ています。それもその筈,焼酎に使う甕の代わりにホワイトオークの樽を用いて発酵させて作っているんだとか。こいつはロックも美味しいですが,一度そのまま生で試していただきたい…!


喚火萬膳(かんかまんぜん)

画像3

というわけで今まで飲んだ中で一番好きだった焼酎がこの喚火萬膳です。ただでさえ美味しい萬膳庵の”ハナタレ”になります。

焼酎は通常,蒸留後に水25度まで薄めてから瓶詰→出荷されます。水で薄めていないもののことを「原酒」というのですが,原酒の中でも甕の底にたまった成分の濃い部分を「ハナタレ」といいます。これは甕から取り出すときに最初に出てくる「端垂れ」が転じてできた言葉なんだそうで,黒木本店の「爆弾 ハナタレ」が有名です。

そのまま飲んでも美味しいのですが,ハナタレ焼酎には「パーシャルショット」と呼ばれる特有の飲み方があります。冷凍庫に飲み物を入れておくと普通は凍ってしまうのですが,ハナタレ焼酎はその度数故に0度以下でも氷結せず,トロッとした独特な状態で飲むことができます。

お味は「圧倒的に華やかなハナタレ焼酎」といった感じで,その強烈な印象の一方で,喉の奥までスルスルと入っていきました。喉を通っていく冷たい感触と華やかな味・香りにいたく感動したことをよく覚えています。(とはいえ人生で一度しかありつけてないので,上手に描写できない...。)

噂によるともう製造が終了しているらしく,お値段が更にすごいことに(T_T)。


まだまだ焼酎を語りたい

本当は焼酎についてもっと語りたい...。でも適当に区切って投稿しないと僕はいつまでたっても記事を出さない...。そんな訳で泣く泣くここらで切り上げです。次回があれば下記のトピックを書けたらいいなぁと思います。それではまた~!

・焼酎の歴史

・変わり種のおもしろ焼酎

・焼酎界のボジョレーヌーボー

・幻の3M/森伊蔵を手に入れろ

ぢょかはいいぞ!





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?