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0565 強い風の日

ほんの数分間だけだったが、某戦場の映像を見た。
陸戦は、今も昔もやることが同じで、お前の命を守るんだぞ、と言われて堀った穴の深さを思い出したりした。

そんな映像を見た次の日、風の強い中散歩に出た。
近所では河津桜が満開になっていて、皆が写真を取っている。
ソメイヨシノほど弱くない、河津桜は、風に揺られてもあまり花びらが散らない。とはいえ、もう来週は葉桜になるだろうか。

桜を後にして、何となく立ち止まって空を見上げた。
風が冷たい。

同じ地球の、同じ空気を吸っているのだ、あの兵士と。
この流れていく空気は、次はどこの戦場に行くのだろう。
桜を揺らす風と、戦地で埃を舞い上げる風も同じだろうに。

何て、思うほどに、強烈な数分間だった。
見逃した番組の、数分だけのものだったのに、衝撃的で、忘れられない。
市民が兵士になってはいけない、でもならざるを得なかった、か。

重たい言葉だ。

小学2年生の甥っ子が、塹壕を掘るなどという経験をしない将来でありますよう。

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