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女友達とのお喋り ー 『シェニール織とか黄肉のメロンとか』/ 江國香織

江國香織さんの、『シェニール織とか黄肉きにくのメロンとか』を読んだ。


ここに描かれているのは、女性たちの目からみた世界だ。

もちろん男の人には男の人の感覚や真実があるに違いないのだけれど、わたしは女なので、彼女たちの言い分に肌感覚レベルで共感してしまう。

彼女たちが語る世界。
その手触りや肌感覚まで伝わってくる言葉はどれも秀逸で、あまりに言い得て妙なので思わず笑ってしまったりもする。
まさに、女友達とのお喋りだ。
くだらなくて他愛なくて、でも時折深くて切なくて、つまりは、すごく楽しい。

ここに出てくる女性たちはみな、わたしよりもほんの少し上の世代(既婚ならばそろそろすべての子どもたちが成人し、未婚ならば次のパートナーが少しずつできにくくなり、親と同居していれば介護が身近に見え始める頃)で、それがまた、すごくよかった。

少し年上の女性たちの、ものの見方と人生への愛情、年齢と折り合いをつけるやり方。
成熟さと世慣れない少女性が同居する彼女たちの話を、いくらでも聞いていたいという気分になる。

本を閉じるのが寂しくなるのは、友だちと「じゃあまたね」と言い合うときの感覚に似ているからだろう。

ああ楽しかった、また近いうちにね、と心から言い合うけれど、この時間が終わればそれぞれの人生に戻ってゆき、それぞれの日常に追われることが、その場の全員がわかっている。
次にまたこんなふうに会える日が、本当に来るのかどうかはわからない。

女同士の幸福なお喋り。
そんな愛おしさをたっぷりと味わえる一冊だった。

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