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NO RECIPE 炊き込みご飯<原木干し椎茸とエビ飯>

料理研究家でもなし、マメでもなし、でも食い意地は張っている。自宅ご飯で最も気にかけるのは、いかにレシピを見ることなく、長い時間調理することなく、美味しいご飯が食べられるか。これに尽きます。家でながらご飯を作りながら美味しくできた時、そこに何か共通することがあるんでないの、的な時だけ書いてみます。

炊飯器を捨てる

炊飯器を捨ててかれこれ20年。炊飯器を使わなくなったのは多層鍋(アルミとステンレスが多層構造になっている鍋)で炊くようになってからです。元々保温したご飯があまり好きじゃないので、ご飯は食べきり分だけ炊くか余ったら冷凍します。なので保温機能は諦めたというか、捨てました。鍋なら1号半、2号くらいなら10分あれば炊ける。そして多層鍋から現在は土鍋にスイッチ。三重県伊賀の長谷園の「かまどさん(三合炊き)」を使っています。

ご飯は硬めが好きなので、使用書では水の量が米よりやや多めなのですが、大概同量で炊いてしまいます。炊き込み御飯の場合、具材量分くらい少し水分を足します。

乾物や調味料こそいいものを使う

料理技術がない人こそ、調味料や乾物で手を抜いてはならないと思います。逆にここでちゃんとしたものを使えば大きな失敗はないと断言したい。今回の炊き込みご飯の肝は、まずは原木の干し椎茸の質。調味料にしてかつ具材でもあります。この椎茸は、東京の奥多摩産原木椎茸「たまのこ」といって鷹ノ巣山にホダ場があるのですが、500メートルほどトロッコで登れば東京の奇跡的な環境。夏でも涼しい。(一昨年夏に行った時のもの)

「たまのこ」は、まだブランディングしたばかりで生の原木椎茸が春、秋それぞれ1ヶ月ほどだけ出回ります。(今のところ伊勢丹新宿と日本橋三越での限定販売で次回は11月の予定。原木生椎茸がまた、すごく美味しい)今回使用した「たまのこ」干し椎茸は、試作版でまだ未発売ですが、冬茹クラスの厚みのある原木干し椎茸であれば同質かと思います。そして炊き込む前、干し椎茸は水で戻しません。ちょっと硬いのですが、手でバキバキ割りながら、土鍋のお米の上に落としていきます。水で戻すと時間がかかるし、椎茸の味が抜ける。お米を浸水する時間、炊いている時間で出汁は結構いい具合に出ます。

異なる旨味成分を組み合わせる

椎茸の旨味成分(アミノ酸)はグアニル酸。代表的な旨味成分は、他にグルタミン酸(昆布やトマトが代表的)、イノシン酸(動物性タンパク質)などがあります。成分の違う旨味成分を合わせると相乗効果で美味くなるので、他の炊き込みご飯でも料理でも、合わせる食材は違う旨味成分を持ったものを意識的に組み合わせれば勝手に美味しくなります。エビの旨味成分は、グルタミン酸とアスパラギン酸だそう。今回のエビは、磯見海産(熊本県)さんの「えびめしの素」というインスタントエビ。磯見海産さんは、熊本県芦北町で絶滅漁法に近い伝統漁、打たせ舟で漁った「足赤エビ」の加工品「焼き足赤エビ」や「釜揚げしらす」など、丁寧な仕事で知られる海産物加工会社です。えびめしは元々漁師飯だそうで、えびめしの素には、赤エビの焼きエビが使用されています。乾物や加工品が丁寧に時間をかけて作られていれば、川下の料理は楽して美味しくいただける。ありがたや、ありがたや。

「えびめしの素」にペーストも入っていたので、醤油もお酒も加えず、まんま炊きました。

出来上がったら、味をみて、少し風味を足したいなと思ったので、塩漬けにしておいた青山椒と生胡椒をふりました。椎茸がかなり豪快な感じですが、生椎茸が蘇ったような食感でプリプリです。

ということで、作り方だけなら2行で終わりそうですが、さらにおまけで芦北町の打たせ舟の話。今年4月、物好きな食べ物好きグループで、打たせ舟に乗船してきました。それが楽しかったー。今は打たせ舟の漁師さんも海老も減っていまい、文化として打たせ舟を残すべく観光船として稼働させようと町と漁師が協力しています。漁師夫妻の(漁はご夫婦でするものだそうです)舟にのり、船上で奥様の手料理を食べたり、タチウオ釣りもできます。釣れませんでしたが・・。・打たせ舟の帆の上がった時の雄大な美しさ、爽快感、船上の食事会はとにかく気持ちが良かったです。

写真のおむすびが、足赤エビのおむすび。磯見海産のエビメシ使ったものと、漁師の奥様お手製の生のエビを調理したものの食べ比べ。両方美味しかったです。

この打たせ舟体験は、芦北町観光協会のHPで問い合わせや予約ができるので、物好きで食好きな人たちにはおすすめです。打たせ舟という漁法のことも、もっと知られて良いと思いました。打たせ舟漁は江戸時代に発達した漁法で、ごくごく小規模でスローな底引き網です。底引き網という言葉から連想する、一網打尽な魚種を枯渇させるものではなく、風力と潮の流れで舟の横につけた網を引くので、海底を傷つけることなく漁獲量も少量なのです。今は、熊本県芦北町と北海道野付湾にしか残っていないのですが、高度経済成長を迎える前は、東京湾で盛んだったのだそうです。羽田浦では夜長し(車海老)、蝦蛄流し、芝海老流しなどが行われていたとのこと。ああ、タイプスリップして見てみたい。芦北町に行ったおかげで、エビメシのパッケージをみたら、打たせ舟の雄大な帆、気持ちの良い風、楽しかった時間が蘇りました。



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食とコミュニケーションがライフ=ワーク。食まわりのディレクション、執筆、プランニング、コンサル、日本各地も大好き。食べて飲んで聞いて考えて何か出す。KOTODAMA(言霊)を大切にしています。noteにサークル「Blue Monkey Room」開設しました。
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