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飯田徳孝の誰もが笑顔になれるサービス精神がヤバいことを体感した話

飯田徳孝(いいだのりたか)を知っているだろうか? いや、知らんわな。

彼は沼津魚仲買商協同組合の職員で、ご当地ソング『沼津 みなと新鮮館』で一部のファンの間では有名だ。私はとあることからこの『沼津 みなと新鮮館』を知り、YouTubeで聞いてその優れた音楽性に魅了された1人。

飯田が6月5日にライブをすると聞いて、聞きに行ってみた。そこで見たサービス精神は真のエンターテイナーに通じるものがあるため、noteにまとめておきたい。

ライブの告知は「飯田徳孝 ホームページ」で行われており、予約もここからする。しかし、どうみても連絡先のメールアドレスは本人だろう(特にキャリアメール)。この時点で、手弁当のライブなんだろうと予想。

予約完了のメールも早く、1人参加ということもあってあっさり予約できた。失礼ながら有名ミュージシャンのライブではないので、そんなもんかと思っていた。

ライブ当日、開場の曙橋コタンに向かう。30分ぐらい前に到着したら、すでに並んでいる先客がいる。会場近くの路上には、若い5、6名のグループの姿も。なんとか列に加わって開場を待つことに。

会場に入ると、各席にコンビニ袋が置かれている。どうやらお土産らしい。ライブ告知のページに、『沼津港 ご当地ソング ファイナルベスト』のCDが付いてくることがわかっていたので、それかと思いきやどうも量が多い。

その中身がこれだ。

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CDだけでも5枚あるのにもびっくりするが、そのほかのものも見てほしい。静岡のひものと鮪の煮付け(缶詰)、羊羹に最中、ご丁寧にマスクや除菌シートまで。

ライブ料金は2,500円(+ワンドリンク)だが、どう見てもこれだけでも2,500円の価値がある。当日は緊急事態宣言下ので開催ということもあり、アルコール類の提供はなし。これを考えてくれたのか、家に帰ってCDを聞きながらおつまみにしてまた楽しんでほしいということなのだろう。

飯田は中々の苦労人で、今でこそ沼津魚仲買商協同組合の職員として就業をしているが、15年ほど前に体を壊して前職を退社、その後あてもなく生活を送っていた時期があった。そんなときに沼津の商店街の方々と出会って現職に就くことになったという。

自分が苦しい思いをしていたときに手を差し伸べてくれた沼津の街を盛り上げようとする想いはこういった彼の実体験から生まれているのだろう。

そして、ライブが開演。ライブの様子はYouTubeにまとめたので、初見の方も一度その様子を見てほしい。

気がついたら20席ほどの会場は満席。しかも、ライブは30分ワンセットの3部構成とこれまたお値段以上のパフォーマンス。私は『Paradise NUMAZU』目当てで参加したが、初めて聞いた曲の中でも引き込まれるものがあり、今もお土産のCDを聞きながらこの原稿を書いているぐらいだ。

彼のライブではおなじみの「NUMAZU」電飾だが、今回もしっかりと設置されていた。この電飾は本人の手作りで、乾電池16本を使って稼働させているそうだ。

そのほかにも、ギターやドラムからけむりがでる演出や、自身の認知度を拡大した『沼津 みなと新鮮館』は各部の最後に毎回歌唱する(合計3回)というサービスの徹底ぶり。

自宅に戻ってお土産を確認したが、CDも手焼きで盤面にまで印刷があるし、歌詞カードまで付いている。聞いた話によると、これらの印刷のためにプリンタを数台壊したという。なお、これらのCDは沼津みなと新鮮館のインフォメーションカウンターで無料配布されているそうなので、ライブに行けなかった方も入手手段はある。

もともと趣味で音楽をやっており、その頃のCDを沼津魚仲買商協同組合の職員が地元のショップで発見したことをきっかけに、職員として音楽活動を再開することになった飯田。その後はメディアやTVでも取り上げられ、一気に認知度が拡大した。

そもそも、「沼津しばり」でただでさえ制限があるのに、こんなにまで曲を展開するとは常人の域は超えている。しかも、どれも音楽性が高く、一度聞くと耳に残るというか、口ずさみたくなるのだ。

各部で衣装も替え、最後にはステージを降りてあいさつをして回るなど、そのサービス精神に圧倒された。しかも、静岡からこれだけのお土産と機材を持って上京するだけも大変だっただろう。

しかし、すべてはファンが求めていることを最高の状態でやりたいという思いがひしひしと伝わってきた。代表曲『沼津みなと新鮮館』にある歌詞の一節、「誰も笑顔になれる」ということなのだろう。

次回のライブは秋を予定しているようなので、今度は東京土産を持参して行こうと思う。

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