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フィジカル重視チームの時代がくるか。(2022年 J1 第一節レビュー)

30周年を迎えたJリーグがいよいよ開幕した。前2シーズンは川崎が2連覇で圧倒的な強さを誇ったが、ゼロックス、FC東京との闘いを見る限り3連覇はそう簡単ではなさそうだ。2019-20のチャンピオンズリーグを優勝したバイエルン以降、フットボールはフィジカルも戦術も卓越したチームでないと勝てない時代へと突入している。世界最強といわれるプレミアリーグを席捲しているのは高い戦術、フィジカルを誇るマンチェスターシティであり、それを追うのはこれまたフィジカルモンスターの集りのリバプールだ。メッシ・クリスティアーノ・ロナウドのような前線のプレスをしないスーパースターがいるチームが勝てる時代ではなくなってきている。現にクリスティアーノ・ロナウドを獲得したマンチェスターユナイテッドは混迷期に入っている。
 そんな中、開幕戦で目を引いたのは名古屋グランパスだ。前政権下の堅い守備をベースにプレス及びカウンターが整備されており、大型補強中の優勝候補ともいわれる神戸を寄せ付けなかった。彼らの中にはマテウスや稲垣、相馬などスプリント力が抜群の選手たちが前線から組織だってボールを追いかける。世界の流れを受けJリーグも徐々に戦術もフィジカルも卓越している選手たちで溢れかえるリーグになるだろうか。
 最も驚いた試合は京都対浦和。ゼロックスを勝ち、勢いに乗って前評判が高かった浦和をまさか38歳ピーター・ウタカのゴールで破るとは。昨年西が丘で東京V対京都を観戦して彼のフットボーラーとしての能力の高さを目の当たりにして驚いたが、今年はユース主体のチームでなんとか旋風を巻き起こして欲しい。
 気になったのは主力選手の欠場だ。ガンバの東口、神戸の菊池、浦和の岩尾、清水のチアゴ・サンタナなど、突然欠場する選手が多かった。このご時世、何があってもおかしくはないがやはり選手層が重要であることは間違いない。特にACLを戦う川崎、横浜、浦和、神戸はホテル隔離も含め過密日程を乗り越えるチームワーク、選手の質、厚みが試される。
 個人的なベストゴールは清水のパリ世代、鈴木唯人のゴールだ。トップスピードで後ろからきたボールを見事にトラップしてニア上に突き刺した。すぐにでもヨーロッパに行ってしまいそうだが、日本にいる間に彼のプレーを楽しみたい。


川崎 対 FC東京

  • 前評判

    • 川崎:何人引き抜かれても優勝してきた王者。旗手を抜かれても優勝できるか。チャナティップを補強したが

    • 東京:新潟を率いたスペイン人アルベルトが就任。バルセロナ仕込みのパスサッカーでFC東京を常勝軍団に育てることはできるか。高卒ルーキー松木の開幕戦デビューに注目が集まる

  • 先発

    • HOME:川崎(4-3-3)

      • GK:チョンソンリョン

      • DF:右から山根、谷口、車屋、登里

      • MF:アンカー大島、脇坂、チャナティップ

      • FW:家永、Lダミアン、マルシーニョ

    • AWAY:FC東京(4-3-3)

      • GK:スウォビク

      • DF:渡邊、木本(C大阪から加入)、トレヴィザン、小川

      • MF:アンカー青木、松木、安部

      • FW:レアンドロ、Dオリヴェイラ、永井

  • 試合経過

    • 序盤は川崎の効果的なプレスで川崎ペース。

    • 後半11分:マルシーニョに崩されていた右サイドの守備を懸念してか渡邊に代えて長友投入(交代直前にユニフォーム着替える騒ぎに)

    • 後半36分:Lダミアンのニアサイドでのうまいヘッドがゴールに吸い込まれる

  • 総評

    • 序盤は川崎の猛攻でいつ点が入ってもおかしくない状況だったが松木のスプリント力、戦術理解度が非常に高く惜しいミドルシュートもあり川崎相手に通用することを証明。中盤はFC東京へと流れが傾き猛攻を仕掛けた。一方の川崎は勝ちはしたが中盤以降のプレスに課題が残った。次節以降にどう修正してくるか、3連覇への道はやはり安易ではない。

Fマリノス対セレッソ

 <前評判>
 ・Fマリノス:昨年2位でマスカット監督は続投だが得点王前田大然、守備の要チアゴマルチンス、中盤の舵取り役扇原が抜けた穴をどう埋めるか。チアゴマルチンスに関しては即鳥栖からエドゥアルドを補強したが、戦術フィットには時間がかかると見られる。とはいえ仙台から西村、徳島から藤田などを獲得し強力な攻撃陣は健在。特に2021年に札幌で驚異的なペースで得点を量産したアンデルソン・ロペスは通年で活躍すれば得点王候補。上位進出は固そうだ。
 ・セレッソ大阪:2021年8月から指揮をとる小菊監督(若き日の香川真司を発掘)がどういったサッカーを見せるか。生え抜きの若きCB瀬古やドリブラー坂元がヨーロッパに旅立ったが、札幌からセットプレーに強い進藤を補強。FWには2019-20に所属し15ゴールをあげているブルーノメンデスもローンで獲得。J2 Watcherの私としては岡山からシュートのパンチ力が魅力の上門、J2ナンバー1の右サイドバックと言っても遜色なかった長崎の毎熊、山形の右サイドを半田陸と共に支配していた中原が加わっており非常に気になるチーム。上門のシュートをJ1でもみたい。
 <先発>
 Fマリノス(4-3-3):
  GK:高丘
  DF:右から松原、岩田、畠中、小池龍
  MF: ボランチ後ろ二枚 喜田と渡辺、前にMジュニオール
  FW:右から水沼、レオセアラ、仲川
 <先発>
 セレッソ:(4-4-2)
  GK:キムジンヒョン
  DF:両サイドは鉄板の松田、丸橋、CBは生え抜きの20歳西川と加入組進藤
  MF:右に清武、左に乾、 中盤に原川と奥埜
  FW:ブルーノメンデスと加藤
 <経過>
 -前半40分 コーナーから進藤のコーナーで先制
 -マルコスジュニオールがPK外す
 -後半21分 アンデルソン・ロペス投入→これで流れが変わる
 -アンデルソンロペスのアシストでドフリーの仲川がゴール
 -押せ押せのFマリノス長いリーチでアンデルソンロペスのシュートがDFに当たりコース変わってゴール
 -89分にコーナーから清武のヘッドで同点
<総括>
ボール保持はマリノス約70%とセレッソはプレスがうまく効かなかった。さすがにスペイン仕込の乾はプレスがうまいが右サイドの清武のところで奪えず、マリノスのビルドアップを自由にやらせてしまった。原川のセットプレーは今年も武器だが、プレスは今後のセレッソの課題となりそうだ。一方マリノスはアンデルソン・ロペスが暴れそうだ(途中で移籍しないでくれれば。。)

清水対札幌

<前評判>
・清水:チアゴサンタナ残留で得点源は確保したが、上澄みはなく清水ユース出身者をうまく育てながらどこまで上位に食い込めるか。パリ世代鈴木唯人の得点量産にも期待。
・札幌:チャナティップが川崎へ旅立ったがミシャ政権が長期化しており連携面に心配はなし。前線には興梠、シャビエルが加入し厚みを増す。
<先発>
清水(4-4-2):
 GK:権田
 DF:右から 原、立田、鈴木義、片山
 MF:右から中山、竹内、白崎(清水→鹿島→鳥栖→清水)、山原
 FW:鈴木唯人、神谷(柏から加入)
 ベンチにチアゴ・サンタナも松岡もおらず。理由がwebで見つからなかった。
<札幌>
 札幌(3-4-3)
 GK:菅野
 DF:右から田中駿、宮澤、福森
 MF:右から金子、駒井、高嶺、Lフェルナンデス
 FW:1トップ興梠、その下に右に 小柏、左シャビエル
<試合経過>
 -序盤は札幌ペース、右から崩して左で打つパターンが多く見られる。
 -前半15分に同様のパッターンでルーカス・フェルナンデスが見事に先制
 -前半34分 札幌PK獲得→Lフェルナンデスが外す 権田読みバッチリ
 -Bコロリの投入で流れ変わる。55分にGK菅野と1対1のチャンス迎えるが決められず。
 -後半23分 今節ベストゴールだと思う 鈴木唯とが後ろからきたボールをスピードを崩さず見事にトラップ、ニアウエに突き刺す
 -79分 小柏のシュートはポスト直撃

<総評>
 清水ホームではあったが、チアゴ・サンタナ、松岡が不在の中、連携抜群の札幌相手によく戦ったと思う。彼らが帰ってきた後が楽しみ。一方の札幌は層も厚く今年も大きく崩れないと見られる(菅、荒野が控え。。)。金子、田中などが海外移籍する可能性があるか。

京都対浦和

<前評判>
 -京都:12年ぶりのJ1、新スタジアムにて初のJ1、チョウ監督のもとユース出身者とウタカをベースに強固な守備と多彩な攻撃を繰り広げJ2で2位。GK上福元、FW大前等を補強し旋風を巻き起こせるか。
 -浦和:3カ年計画の3年目。ゼロックスで川崎に勝ち波に乗る。主にJ2からの補強が多く、適材適所で効果的に選手を配置。江坂を中心とした攻撃に磨きをかける。
<先発>
京都(4-3-3)
 GK:上福元(若原じゃないのか)
 DF:右から白井(札幌から今年加入)、アピアタウィア(仙台から加入)、メンデス(甲府から加入)、麻田(昨年はCB)
 MF:アンカーに川崎(ユース出身:去年は本当に良かった)、前に武田と松田
 FW:右から竹富、ピーター・ウタカ、豊川
浦和(4-1-4-1)
 GK:西川
 DF:右から酒井、岩波(鹿島から加入)、犬飼、馬渡(大宮から加入)
 アンカー:柴戸(ゼロックスで良かった岩尾は出場せず)
 MF:右から関根、安居(大卒1年目)、伊藤、明本
 FW:江坂

<経過>
 -前半スコアレス
 -後半4分 ピーター・ウタカ先制
<総評>
 レッズ優勢とみられたが京都が嬉しい開幕戦勝利。今節一番のサプライズかもしれない。これで京都は波に乗る。

G大阪対鹿島


広島対

    • 前評判

      • 鹿島:ブラジル路線を変え、スイス人監督を採用。まだ指揮はとれず暫定で岩政コーチが指揮をとる。いばらきサッカーフェスティバルで水戸ホーリーホックに敗れ心配の声はあるが、帰ってきた鈴木と若い上田、荒木が躍動すれば常勝軍団の復活はあるかもしれない。ただ両CBの犬飼、町田の穴をどう埋めるか。関川の負担をどう軽減するか注目だ。

      • G大阪:主力の高年齢化が懸念されるが名将片野坂監督の手腕に注目が集まる。昨年終盤に岡山で大活躍した石毛の奮起にも注目。けがで東口のフルタイム出場数が109でストップ。

    • 先発

      • HOME:G大阪(3-4-3)

        • GK:石川

        • DF:高尾、昌子、柳澤

        • MF:小野瀬、チョセジョン、倉田、黒川

        • FW:1トップ パトリック、シャドーに宇佐美と石毛

      • AWAY:鹿島(4-4-2)

        • GK:クォンスンテ

        • DF:常本、キムミンテ、関川、安西

        • MF:土居、樋口(鳥栖から加入)、Dビトゥカ

        • FW:上田、鈴木

    • 試合経過

      • 前半20分、上田のスーパーゴールで先制

      • 同26分、小野瀬もスーパーゴールで同点

      • 同33分、鈴木ゴール

      • 同38分、パトリックが一発退場(これは たむけんさんのtweetにもある通り賛否両論あると思われる)

      • 後半21分、またしても上田選手のゴール

    • 総評

      • 鹿島のシュート数33本が表す通り、鹿島がよく攻めた。そして鈴木が本当によく目立った。海外での経験をもとに勝つ為になんでもするという常勝軍団のスピリットを持ち込んでいるように思える。一方のガンバはこの試合だけでは判断できないが片野坂監督が今後どのようにチームをマネージメントしていくか注目だ。

    • 広島 対 鳥栖

      • 前評判

        • 広島:アルアインの監督だったミヒャエル・スキッベ監督が就任。ドイツ路線に舵を切る。野津田が帰ってきたのと愛媛の前線で大活躍した川村が加入。OUTはそこまでなく前年のメンバーをベースに上位をうかがう。

        • 鳥栖:川井監督就任。前任の金監督のもとユース出身で上位進出してきたチームをどう構成するか。IN/OUTがかなり発生し昨年とは別のチームになると予想される。宮代と垣田という策ね徳島で活躍した前線の活躍は確約されているだろう。

      • 先発

        • HOME:広島(3-4-3)

          • GK:林

          • DF:野上、荒木、佐々木

          • MF:藤井、青山、塩谷、柏

          • FW:鮎川(ユース出身)、仙波(鮎川に同じく)、浅野(ジャガーの弟)

        • AWAY:鳥栖(3-4-3)

          • GK:朴

          • DF:鳥川、ファンソッコ、ジエゴ(今期徳島から加入)

          • MF:飯野、福田(新潟から加入)、小泉、岩崎(札幌から加入)

          • FW:垣田(徳島から加入)、堀米(千葉から加入)、菊池

      • 試合経過

        • 後半25分:塩谷のゴールがら空きへのシュートが惜しくも外れる

        • 後半29分:ジュニオールサントスの無人へのシュートも外れる。

      • 総評

        • どちらもいいチャンスは作れていたがスコアレスドローとなった。戦力的に考えると両者ともこのまま波に乗れないとどちらも降格候補となる可能性もあるため、決定力不足は早めに抑えておきたい。

    • 福岡 対 磐田

      • 前評判

        • 福岡:前年磐田をけん引したFWルキアンを補強、前年J1中位でしっかりと残留した戦力をもとに長谷川路線で上位を狙う

        • 磐田:やっとさん中心のチームがJ1へ昇格。甲府を長年率いて常にJ2上位にいたチームを構築した伊藤監督がどこまでJ1の上位争いに食い込めるか。ルキアンの代わりに杉本を補強。大宮の元気印だった新加入黒川も沿線をかき回す。

      • 先発

        • HOME:福岡(4-4-2)

          • GK:村上

          • DF:右から前嶋(横浜FCから新加入)、Dグローリ、宮、志知

          • MF:右からJクルークス、田邊、前、金森

          • FW:ルキアン、山岸

        • AWAY:磐田(3-5-3)

          • GK:三浦

          • DF:右から山本義、大井、伊藤

          • MF:鈴木、遠藤、山本康、松本

          • FW:CF杉本、シャドーに黒川と大森

      • 試合経過

        • 前半26分:クルークスの惜しいシュート

        • 前半ロスタイム:コーナーから金森の惜しいシュート

        • 後半16分:左サイド金森の落としから右SB新加入前嶋がゴール

        • 後半48分:途中出場ジャーメイン良が終了間際にゴール

      • 総評

        • まさかの両チームのゴールの得点者は全て前年横浜FCのコンビとなった。福岡の両サイドの攻撃は非常によく、今後武器になるだろう。しかし福岡は直前に勝ち点2を失った形となった。

    • 湘南 対 柏

      • 前評判

        • 湘南:山口監督のもと、キャンプでしっかりと強化に取り組み前評判が非常に良い。台風の目に推すジャーナリストの声が多い

        • 柏:DAZNのプレビューでのエルゴラッソのデータによると下位でJ2落ちに推す声が多い。しかしながら、FWにドウグラスを補強したり、DFラインは若い実力者ぞろいでそこまで悪くないのではないか。

      • 先発

        • HOME:湘南(3-3-2-2)

          • GK:谷

          • DF:舘、大岩、山本

          • MF:底米本、右に岡本、左に畑、前線二枚 茨田と平岡

          • FW:タリク、瀬川

        • AWAY:柏(3-5-2)

          • GK:キムスンギュ

          • DF:大南、高橋、古賀

          • MF:底に椎橋、右に中村(清水から新加入)、左に三丸、前線にMサヴィオと山田(レイソルU出身)

          • FW:細谷と新加入ドウグラス

      • 試合経過

        • 前半34分:キャプテン大岩退場

        • 後半6分:ドウグラス負傷交代 小屋松 in

        • 後半23分:中村を石原が倒しPKをMサヴィオが決める

        • 後半30分:交代して入った小屋松が混戦からゴール

      • 総評

        • 前半にキャプテンが退場するとやはり試合の流れが変わってしまう。湘南も元柏の瀬川と茨田が意地を見せたかったが、柏のクリーンシートでの勝利となった。

    • 名古屋 対 神戸

      • 前評判

        • 神戸:大迫、武藤の協力2トップが開幕から在籍する為、優勝候補に推す声も多い。槙野をDFに加え雰囲気も良く開幕戦に名古屋に勝って波にのれるか。

        • 名古屋:長谷川健太新監督のもと、大幅なメンバーチェンジはなく昨年の堅守を引継ぎさらなる上昇を目指す。しかし控えに長澤、柿谷、齋藤学、金崎夢生とは、豪華。

      • 先発

        • HOME:名古屋(4-2-3-1)

          • GK:ラングニック

          • DF:宮原、中谷、チアゴ(セレッソから加入)、吉田豊

          • MF:底に稲垣とレオシルバ(鹿島から加入)、前は右から相馬、仙頭、マテウス

          • FW:酒井(酒井高徳の弟、昨年鳥栖でFWにコンバートしてブレイク)

        • AWAY:神戸(4-4-2)

          • GK:前川

          • DF:右から槙野、大崎、小林、酒井

          • MF:ダイヤモンド 底にサンペール、右に山口、左扇原、前に汰木

          • FW:大迫、武藤

      • 試合経過

        • 前半23分:稲垣(マテウスのプレスで大崎からボールを奪い波状攻撃。)

        • 後半6分:オウンゴール

        • 後半13分:扇原2枚目レッドで退場

      • 総評

        •  ボール支配率は神戸60%で名古屋は守ってカウンターという得意の戦術。奪ってからのスピードが速く連携も抜群。2点目も奪われた後即アーリークロスが挙げられオウンゴールに結びつけられた。神戸は菊池の欠場が響いたか。かれのような中心選手は不在の影響が大きい。扇原の退場もカウンターを阻止したファールによるもので、名古屋の術中にはまった形となった。77分の大迫の大チャンスも決められず。

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