ただ好きなものの話をしただけ。

「私.あなたのことが本当に大好きなんです」

存在がまるまる全部好き
外側の殻も素晴らしい
髪の毛の硬さ、
レッサーパンダのような無害そうな目、
だけど強さを感じる眉毛と輪郭と鼻と唇、
筋肉の使い方、所作、
肌の色、質感、厚み、形、
つま先までぜんぶ見たい
内臓ですらもどうなってるのか知りたい、
なでたい

これまで一緒に過ごしてきた時間も全部好き
見てきた姿全部好き
空気を浄化する魔法石のような話術
みんなの気持ちを汲んで、浄化して放つ
人の話を聞いる時の眼差しも
少しの変化に気づいて気を配る姿も
それを気配りに見せないまっすぐさも

人に強く当たる時も余裕がない時も
全部その理由を理解できるし
そんな余裕のないも魅力的

喋り方も、声帯も好き
声のトーンが私にとって最高の温泉のよう
柔らかくて暖かくて少しミルキーで
ずーっと入っていたい、この中で寝たい
と思わせてくれるような心地よさ
語尾も、テンポも、発音も
うつ伏せになった私の背中を猫が歩くみたいに
少し重くてくすぐったくて
やっぱり柔らかくて幸せな気持ちになる

あなたのことをもっと知りたいと思う
朝起きたらまず何をするのか
どんなふうに歯を磨くのか
どんなふうにぐうたらするのか
ハグする時はどんななのか

一緒にベッドに横になってゲームしたりとか
脚を投げ出して重ねながらテレビを観たりとか
レストランに行ってウマ!って笑ったりとか
廃れた飲み屋で店主と喋ったりとか
そういう他愛のない時間を一緒に過ごしたい

あなたの、ぜんぶを触りたい、
筋肉のかたちも硬さもよく知りたい
私と触れ合うと気持ちいいと感じてほしい
やさしく体をなでて、ゆっくりキスをして
少しずつ燃え上がって汗の匂いを嗅いで
ただそれだけでいい

ごめん、とか、付き合おう、とか
そんなありきたりな返事はいらない
ただ、私は私が好きなものの話をしただけ。

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