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同性愛に関する教皇フランシスコの言葉

教皇フランシスコは、同性愛者に対して寛容であることはメディアでもよく知られています。実際、同性愛者とその家族への心配りと同伴の大切さについて、様々な場で語っておられます。非常に重要なことです。

ただ残念ながら、こうした言葉を曲解し「教会はついに、同性愛行為を罪とする教えを捨てたのだ」と誤解する人が多くいることも確かです。

忘れてはならないことは、教皇には「教会の教えを変える権限がない」ということです。カトリック教会における教皇の役割は、神によって啓示された永遠の教えを守り伝えること。「個人的な発言」=「教会の教え」にはなりません。教皇は独裁者ではなく、その役職名のとおり「神のしもべのしもべ」なのです。

以下は、教皇フランシスコが「家庭に関するシノドス(世界代表司教会議)」開催後に、そのまとめとして発表された使徒的勧告『愛のよろこび(2016年)』からの抜粋です。教皇はそこで全世界の司教団と一致して、教会としての公式見解を述べておられます。要点を後半にまとめました。

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抜粋

250 教会は自らの姿勢を、無限の愛を持って分け隔てなくすべての人にご自分を差し出された主イエスに従う者とします。シノドス教父とともにわたしは、家族の中に同性愛の傾向のある人がいる家庭の事情について考慮しました。それは、親にとっても、子にとっても、楽ではない経験です。ですから、何にも増して繰り返し申し上げたいことは、どんな人でも、その人の性的指向にかかわらず、その尊厳ゆえに尊重し、軽蔑することなく受け入れるべきで、「不当に差別」せず、いうまでもなくいかなる攻撃や暴力もあってはならず、心を配るべきだということです。家族についてはむしろ、敬意をもって同伴することが大切です。そうすれば、同性愛の傾向のある人が、その生活を通して神の御旨をしっかり理解して果たしていくのに必要な支えを得られるはずだからです。
251 家庭の尊さと使命に関する審議の過程でシノドス教父は「同性愛者どうしのむすびつきを結婚と等しくみなす企画については、同性愛の結びつきと、結婚・家庭に関する神の計画には、同一視する、あるいは類似性を認める根拠は、みじんもない」と述べました。また、「地方教会がこの問題に関する圧力に屈してしまうこと、また、国際的な組織が貧困国に対し、同性愛者間の『結婚』を定める法律の導入を、経済援助の条件にしたりすること」は容認できません。

要点

・同性愛の傾向をもつ人々、またその家族の経験は決して楽なものではありません。そのために、彼らには心配りと同伴をするべきであり、差別などはあってはなりません。どの人にも、神に与えられた人間の尊厳があります。

・家族への同伴をとおして、同性愛の傾向を持つ人々も、神の御旨を果たすために必要な支えを得ることができます。

・世界司教代表会議で再確認されたことは、同性同士の結びつきは、男女の結婚とはその本質上、全く異なるものであるため、いわゆる「同性婚」を教会が認めることはありません。

・世界各地の教会が、同性愛者間の「結婚」を認めさせようとする圧力に屈することは、教会として認めることはできません。

・国際組織が発展途上国に対して、同性愛者間の「結婚」を定める法律の導入を条件に、経済支援を提供することがあります。教会として、これを認めることはできません。


出典:教皇フランシスコ使徒的勧告愛のよろこび』, カトリック中央協議会, 2017. 【原文の発表年月日】2016年3月19日


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