カポーティ ~ラブストーリーの書けなかった小説家~
ヌーンシティ カポーティは、最初の小説である『遠い声遠い部屋』で、ヌーンシティという架空の町を作り上げた。この南部の田舎町は、バスも汽車も通じていない。隣町のパラダイスチャペルへ、週に六日、チャベリイ・テレビン油会社のトラックが郵便物の受け取りと物資の補給に来ているだけである。
このヌーンシティには、彼が育ったアラバマのモンロービルが、色濃く投影されている。この町の人口は、3,500人ほど。街路樹に縁どられた歩道ガ通り、町の中心には広場があった。人懐こ