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2020/01/17.高知三日目最終日

昨日のホテル晩酌から始まる話。

コトヒキが、美味しかった話はした。
夜須の道の駅で買ったさば蒸しとこんにゃく寿司。全く未知の食べ物。


鯖の腹にみっちりおからが詰まってて、味の予想がつかない。一口食べて、思わず声が出る。
なにこれ、ものすごく美味しい。

後で確認するまで中身知らなかったが想像するに、おからに砂糖と卵で豊かな甘味が仕込んであって、蒸されたサバはしっとりとして、お互いの味が移り合って補完しあい、絶妙としか言いようがない。結構しっかりとにんにくの香りと味がするのも意外すぎる。葉ニンニクか。

こんにゃく寿司はいなり寿司のように拵えられた見かけただのそれだけだが、口に入れるとグワッと旨味が押し寄せてきて、予想外のしっかりした味がこれまた意外。どうやって作るのか想像ができない。

後で調べると、長年山に閉ざされたこの地方にはガラパゴス的に進化した郷土料理があるという。ネットで検索しても全く見つからない。何という幸運。旨すぎる。

やたらに早起きしてしまった。
少し残しておいて次の日の朝ごはんはスーパー半額寿司にこれら田舎寿司を。贅沢。


最終日は小雨。二日もったから上出来。
まずは近くの鏡川へちょっと竿を出しに。昨日見たら何か魚がいたので知りたくなって。
橋のたもとから砂虫つけて投げるけど反応ゼロ。おかしいなあ。結構いろんな釣り方試すも何もなし。
橋の上から見るとちょうど真下に数百はいる大群、もしかしてと思って砂虫を数匹ばら撒くが全く反応がない。
ということは、ボラかぁ。彼らは基本的に虫は食べない。となるとルアーも無理だったわけだ。しかし美しい背中の煌めき。

ホテルの向かいに気になる酒屋があって寄ってみた。安岡酒店BLUES。最後までが店名。


あからさまに音楽好きの酒屋。アズミさんやロイキ、イ・ランのチラシまである。
高知の地酒はなかなか手に入らないものもあるので興味があって、少し試飲。香り系、吟醸系が多いので定番を所望すると定番酒はおかない限定酒のみ取扱とのこと。
さびしい。
悩んだけど機内持ち込みできると聞いたので豊能梅という土佐最小蔵の昨年のひやおろし一升瓶にした。今はしぼりたての時期でオススメされたが、あまり得意ではない。お猪口一杯で十分。

ホテルに戻ってチェックアウト、荷物は預かってもらって昨日も訪れた林釣具という大型店へ、さすが釣り王国高知、物凄い品揃えでオリジナル商品も面白い。
高知といえばアカメ。国内淡水魚最大級の魚が目の前の川でも釣れるらしい。140センチ40キロ近い記録も。さながら博物館のような資料が揃う。
いくつか旅の思い出に小物買ってホテルに戻ろうがと思ったが雨が強くなってきた。
今日の釣りはやめとこうかな、となると予定変更。ダッシュで中心街へ向かう。

かなり歩いてあの有名なひろめ市場を通り過ぎて裏に入った路地にひっそりとあるマルヨシ食堂へ。食堂ファン達の聖地として知られる老舗の名店だそうだ。


お店の表から木製のおかずケースが見えてもう堪らない。


おじさんたち数名の間で、熱燗、おかず二品をツマミに。盃がとてもいい。


〆に中華そばを。塩味あっさりで最高だ。
お会計したら、千円ちょいだった。有り難い。ご馳走さま。

戻りは急いで路面電車でホテルへ、荷物ひったくってリムジンバスで空港へ。
ついたらかなり早いがチェックインして荷物預けて、持ち込み荷物担いで外へ。

地図を見るとすぐ近くに漁港がある。本当は早く来て釣りをしようと思っていたが雨なので、ただ最後に海が見たかった。

地図に従って歩く、オイこれ、着くのか…。
雨の中、かなりの急ぎ足で35分、やっとついた港は無人、雨が強い。
竿を出す時間は五分。それでもやる。無反応。それでもいい。やらないよりやったほうがいいに決まってる。


高知の海だ!
どんなに天気が悪くても、魚が釣れなくても、海に来られればいい。人間のことなんかどうでもいい、人がいなくなってもここに海があることは変わらない。そうあってほしい。

雨風の中、やけっぱちに酒を喇叭飲み。
土佐の海に酒や!
何だか気持ちがいい。

さあ、帰ろう。
帰り道はもはややけ酒状態に歩き喇叭飲み。まあ酒飲み王国高知ならばそう珍しい光景でもないだろう(か?)。


空港についたら酒が空いていた。水のようによく飲んだ。お陰で程よくベロベロ。

みんなが俺の名前を読んでいる、てへへ、とか言ってるのではなくて出発十分前だ。
ちゃんと乗り込んで、座ったら気絶。

この三日間、とにかく歩いた。昨日など朝から電車バスに乗っていた時間以外、13時間近くも歩いている。その上、磯場の断崖を登り降り、テトラにも登った。全身がガクガクする疲れ。
そしてピリピリと痛い指先。仕掛けを作りまくり、針を結び、魚を針外し、噛まれ、岩を掴み、爪は割れ傷む。
毎日釣りをした釣り人だけの、どうでもいい勲章のようなもの。
この痛みが消える頃に、強い立派な釣り人の指ができているのだけど、その理想は遠い。


成田で降りたら晴れている。
ものすごい大荷物だが、もう少しどこかに遊びに行きたい。が、明日は五時起き、やめとこう。

柏に戻って帰り道に野菜を少し買い足して、本絞り飲みながら帰宅。
朝作った重ね寿司は立派な押し寿司になっていた。魚の旨味が米に移っている。鯖のおから寿司が恋しい。
また遠くないうちに、高知へ戻ろう。
誰一人知り合いはいないし、行きたい名所もない。でも、こたえてくれる海がある。

これで、土佐旅行の話はおしまい。

こんな何の意味もない日記を読んでくれる人が2,3人いるらしくて、その人達と自分のために書いています。
もし僕が死んだら、こういうやくたいもない下らない日記が、僕の遺言になる予定です。

こぼれ話はまた、ポロポロと。

おしまい。

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