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愛着がわくキッチン用品

何年か前、NHKで「猫のしっぽ カエルの手」という番組に出会いました
ベニシア・スタンレー・スミスさんというイギリス人の女性が
京都大原に移住して
日々の生活や思いをつづる番組でした

彼女も人生においてたくさんの事柄が起こり
悩み、考えながら暮らしていました
番組制作側の意図もあるかもしれませんが
それはとても素敵な生活に思えました

ベニシアさんの言葉で心に残るものがあります
「人生は四季のようなもの どの季節も美しい」
「日々使うものに気を使う」
そのような意味だったと解釈しました

四季で例えるなら、今の私は秋の季節でしょう
ちょうど紅葉が始まったころかな?

この番組に出会うまでは、便利グッズというものをよく買うことがあり
それらは安価で色もカラフルでした
でも、ベニシアさんの言葉を聞いて改めて自分のキッチンを見回した時
まな板もざるもトレーも、調味料入れもすべてプラ製品だったことに
愕然とした記憶があります

きちんとした道具を、何も使っていなかったことを思い知らされました

住んでいる地域には、昔ながらの刃物屋さんがあります
さっそく包丁を2本、揃えました
スーパーで買うより高い買い物でしたが、切れ味が鋭く力もいりません
トマトなんて極薄にスライス出来て
それを皿に並べてパセリとオリーブオイルをかけるだけで
とてもこじゃれた一品になってしまうのだから驚きです

大げさに感じますが、明らかに生活の質が上がった感じがしました

日々使うものに気を使うって、こういうことなんだなと思いました
包丁一つでも、ストレスを減らし、感動を与えてくれます
ほどなくして木のまな板をそろえ、ざるは竹製品に変えました

ベニシアさんの暮らしは、私に様々な気付きを与えてくれたように思います

便利に慣れすぎて、自分の使うものがどこで作られて、どこに捨てられるのかなど考えたこともありませんでした
まな板やざる、お弁当箱なども、一見日本製のように見えて、外国製の物もあることを知りました
国産のものがけっこう高価なこと、産業が不安定なことも、知りました

見えていないもの、気づいていないものが多い人生を送ってきて
私自身が残念なことになっている気がしました
その時ももうすでにいい大人だったけれど
安価なものを深く考えずに買い続けてきた結果が
巡り巡って自分の質まで安っぽいものにしてしまう

それからは、なるべく国産のきちんとしたものを買うようにしています

その時買った包丁は、刃物屋さんに行けばプロが研いでくれます
今でも素晴らしい切れ味で、もう他の包丁を使う気にはなれません
包丁研ぎ機は不要になり捨ててしまいました
以前使っていた包丁は
使う機会がなくシンク下の包丁入れに入れたまま
先日カビが生えているのをみつけたので、処分しようと思います

木のまな板は包丁の当たりが柔らかく、手が疲れません
汚れもつかず、普通に洗うだけで清潔に使えています
二つのまな板を交互に使って、しっかり乾燥させるように気を付けています
何といっても、包丁で切るときの音が優しくて
この音を自分に聞かせるのもとても癒しの時間になるのです

竹ざるも大活躍です
大きいものは畑に持っていき、収穫してそのまま野菜入れにしています
平たいものは蕎麦やそうめんを載せて、食卓に出しています
道具でもあり、器でもあり、そのまま置いていても空間の邪魔をしません

高価だと思っていたものは、とてもコスパのいいものでした
何より、時間とともにとてもいい感じに使い古されて、古いキッチンに合う雰囲気になっていくのです







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