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『くちぶえ番長』

数年前流行って、気になっていた起業家の本を昨日から読み始めたのだが、今の気分に合わなかったのか、読んでいて全く面白くなかったので、半分まで読んで止めてしまった。

・・・ということで、次に何を読もうかな〜と思って目に入ったのが、この『くちぶえ番長』。子供が読書感想文を書くために読んでいる本なのだが、感想文を書くときにきっとアドバイスを求められるので、だったら先回りして読んでみようかと思ってこの本を手に取った次第だ。

さて、この本は大人になった主人公が、幼い頃の大切な友達を探すためにこの本を書いていて、それを読んだ読者も一緒に過去を旅する設定だ。

小学四年生の主人公ツヨシは、優しいけどちょっと臆病な男の子。
そんな彼の学校に、ある日転校生がやってきた。
名前はマコト。
マコトは初日の自己紹介で、「夢はこの学校の番長になること」だと言ってみんなを驚かせる。活発で、弱いものいじめが大嫌いなマコトだが、実はツヨシの父親の親友の娘だった。ただその親友は病気でもう亡くなっていたのだった。マコトは幼くして父親を亡くしたからか、他の子より大人びた印象だった。そんなマコトと過ごしていくうちに、ツヨシはマコトの勇気、優しさ、気遣い、寂しさを知った。そしてツヨシ自身も今まで気付かなかった心の奥にある勇気、ちょっとした嫉妬、寂しさ、そして淡い恋心を知った。

私が好きだったポイントの一つに、マコトと出会ったことで、ツヨシが家族に色んなことを教えてもらい少しずつ大人になっていくところだ。
「お盆」というものの考え方だったり、飼っていた犬のワンが亡くなった時の気持ちの持ち方だったり、親子で過ごす時間が丁寧に描かれている。

実際、私にも同じように「くちぶえ番長」のようなお友達の思い出があり(いじめとかはなかったけど)作品にどんどん引き込まれていった。親の気持ちで読んでいるところと、小学生だった頃の自分を思い起こさせるところとあって、なかなか面白かった。

作家の重松清さんは、子供から大人向けの作品まで幅広く書いていらっしゃるようなので、また別の本を読んでみたいと思った。


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