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「客の意識の低さ」を理由に一年で潰れた脱サラ居酒屋を量産しないために

 まずはこちらの記事をごらんください。

 脱サラして居酒屋を始めた店主が毎月赤字で1年で閉めました。自己資金1500万円と借入1000万円でスタートして、1650万円溶かしました、という悲しい内容の記事です。赤字で閉店した理由が、客の意識の低さだと紹介しているあたり、元店主さんの無念さが滲み出ています。独立しなきゃい良かったと後悔していることでしょう。

 今日は、1年で閉店する脱サラ居酒屋が量産されないためにはどうしたら良いのか、居酒屋に限らず、喫茶店でも、ネイルサロンでも、マッサージでも、バーでも、会社員さんが自分の事業を作る上で、押さえておくべきポイントについてお話しさせてください。

なぜ、「客の意識の低さ」だと言っているのか?

 まず情報を整理します。元店主さんが赤字で閉店を余儀なくされたのは「客の意識の低さ」だと言っている理由について。

「おいしい料理でお客さんを笑顔に、なんて思っていましたが、来る客は今までの大企業サラリーマン人生では接したことのないような人ばかりで、大変なストレスでした。
『お前、こんな店やめてラーメン屋をやれよ』とか、とにかく説教をしたがる客が多い。故郷から取り寄せた珍しい食材を使ったこだわりの料理は見向きもされず、フライドポテトや焼き鳥のようなありふれたメニューばかり注文が入る現実にもうんざりでしたよ」(記事より引用)

 なるほどこれが元店主さんも心が折れますよね。自身の提供しているサービスと、それを受け入れてくれないお客さん。たしかに、赤字閉店の理由はコレで間違いないのですが、提供サービスとお客さんがミスマッチの場合、

・提供サービスを変えて、お客さんに合わせる
・提供サービスはそのままで、お客さんを変える
・どちらも変えず、理解してもらえるように頑張る

 この3つの打ち手が考えられます。元店主さんは3つ目を選んだので、なかなか状況が改善されず、撤退理由を「客の意識の低さ」と感じている、こういうことの様です。

じゃあ、どうすれば良いのか?

 新年2022年を迎えて今年こそは会社を辞めてお店を持とうと考えている会社員の方からすると、笑えませんよね。同じように1年で赤字閉店するのであれば、むしろ独立したくない。じゃあどうしたら良いのでしょうか?

 お店の作り方や事業の作り方の技術はAmazonやGoogleで探せばいくらでも本や記事が見つかりますので、この記事ではハウトゥー(ハードスキル)ではなく、事業を作る上でのマインドについてお話しさせてください。

自分<お客さん

 話を戻して、記事中の元店主さんが提供していた居酒屋では、元店主さんが作りたいお店を作り、元店主さんが出したい料理を出していた様です。

・居抜き物件ではなくスケルトンから内装を全部作った
・郷土料理「いるかのたれ焼き」「まぐろのしっぽ焼き」
・こだわりの料理は注文されず、焼き鳥やフライドポテトなど定番ばかり注文が入る

 これから脱サラされるみなさんは、元店主さんとは逆に、主語を自分ではなくお客さんにすることで、1年で閉店することのない店づくりができます。自分が作りたい店じゃなくお客さんが行きたいお店を作れば良いだけですし、自分が提供したい料理ではなくお客さんが食べたい料理を作れば良いだけです。

 お店を開業してからも、お客さんの注文の様子や食べている笑顔やコミュニケーションで、どうすればもっとお客さんが喜んでくれるかわかるはずで。記事中にこんな話もありました

『お前、こんな店やめてラーメン屋をやれよ』

 もうこれとか最高のヒントですよね。このお客さんにラーメン出したら喜んでもらえるんですから、一走りスーパーやコンビニに走ってラーメンの材料買って、お店にある食材載せて裏メニューとして出して反応を見るとか。とにかく自分<お客さんを優先して、主語を自分ではなくお客さんにするだけで、お店が1年で潰れることはありません。

どうやったらお客さんが来てくれるかではなく、どうやったら喜んでもらえるか考える

 実際にお店を開店させて赤字が続くと、どうやったらお客さんが来てくれるか考えるようになってしまいます。これはこの店主に限らず誰でもそうです。でも、「自分<お客さん」の法則を考えると、お客さんは「どうやったらお客さんが来てくれるか」と年中考えている店主の店に行きたいのか。

 自分がお客さんならそんな店には行きたくないです。店主が年中考えるべきことは「どうやったらお客さんが来てくれるか」ではなく、「どうやったらお客さんが喜んでくれるか?」ではないか。

 どうやったらお客さんが来てくれるか考えると、店内がお客さん1組しかいない場合、店内のお客さんを放り出してドリンクチケット半額券を店前で配りまくったり、常連に連絡したりするわけです。
 でも、どうやったらお客さんが喜んでくれるか考えると、店内の1組しかいないお客さんを喜ばせるために色々工夫できますよね。


 記事中の居酒屋が1年で潰れてしまった理由は「客の意識の低さ」ではなく、「元店主の事業構築感度の低さ」ではないでしょうか。

ぶよぶよの体でプロボクシングのリングに上がるようなもの

 とはいえ、初めて独立起業する会社員の方が、自分<お客さんで考えるとか、どうやったらお客さん来てくれるかじゃなくどうやったらお客さん喜んでくれるか考えるとか、考えられないのも無理がありません。

 居酒屋でも、喫茶店でも、ネイルサロンでも、この道のプロたちと並んで競争してお店を運営していくわけですから、何の準備もなく開店するのはトレーニングしていない今の自分の身体で、プロボクシングのリングに上がるようなものです。他のプロからすると一発KOして「プロ舐めんなよ」ですよね。

 会社でも春になると入社してくる新入社員が使えないと思うことがあるかもしれませんが、全く同じです。店主1年目のあなたがプロのリングで勝てると思う自信の根拠は、ちゃんとあるのか。

 このままだとプロボクシングのリングでマットに沈んでしまうわけですがそうは言いながらも、じゃあどんな準備をすれば良いのか。どうやったら会社員が独立して戦っていくための筋肉質なボデーを手に入れることができるか。そんな短期間で自身を鍛えるライザップビリーズブートキャンプみたいな上手い話があるはずがありませ…

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