同期からの連絡・『アス』・ツナ缶

■同期からの連絡

コロナ禍で仕事が減り、ただでさえつまらない仕事に「暇」が加わってしまったために溜め息をつきながら帰宅するとスマホに1年以上連絡を取っていなかった同期からのLINE通知が来ていることに気づいた。「最近どう?」。埼玉県の中でも一番個性のない都市における雑務で人生の貴重な時間を浪費しているだけなので、「普通」とだけ返した。その後はもともとアニオタということで気が合ったのもあり、「雛菜可愛いよな」などとシャニマス関連の話題を少々続けた。

で、最近の仕事の話になる。お互いに長い間連絡を取っていない(そもそも僕は孤立した部署にいる)のもあって、何をしているのか全く分からない。そこそこ情報交換をした後、「仕事つまらん」という話題になる。正直この文字列を見たとき、僕は嬉しかった。なぜなら僕も普段仕事をまったく面白くないと思っていて、孤立している分「同期との差」のようなものが広がっているのではないかという一抹の不安があったからだ。

話題は「転職」に移っていく。いつかはわからないが転職はしたい。コロナ禍で仕事がさらにつまらなくなって、そう思う人はより増えたのではないだろうか。思うに、新卒数年目の社員の仕事がアーレント的に解釈した「仕事」になることはない。ほとんどが直接自分のためにはならない雑務、つまり「労働」になってしまうと思うし、組織というのは往々にして下っ端につまらない仕事をさせるようにできているものだとも思う。

最終的に同期との連絡は「いつか転職したいな」というやりとりで終わったが、この「いつか転職したいな」という意思は忘れずに持っておきたいものだ。というのも、サラリーマン生活というのはつまらないが生活する分にはあまりにも楽でなかなか離れづらいものだと思うからだ。

他にやりたいことはまだ決まっていないが、それが見つかった時に備えて知識を蓄える・借金をしないことをこれからも意識していきたいところだと思うのでした。


■『アス』

『ゲットアウト』の監督、ジョーダン・ピールの新作である映画『アス』のDVDを借りて観た。『ゲットアウト』と言えば当時見たときは「白人一家の思想」であったり、「ホラーともスリラーとも、あるいはコメディともとれる演出」がとても目新しく感じたためお気に入りの映画だった。『アス』は本当は去年映画館に行って見たかったのだけれども都合が合わず見られなかったんので断念し、その借金をこの退屈な自粛期間に返済しようと思いたったというわけだ。

やや難しいところのある映画だったけど、この映画のテーマは「幸せな生活の裏側では誰かが悲惨な生活を肩代わりしている」ということだと自分は考えている。この映画で言う「幸せな生活」を享受しているのは主人公たちを含む地上の人たちで、資本主義経済がもたらした物質的に豊かな生活をしている。一方「悲惨な生活」を享受しているひとたちはこの映画では地下にいる「テザート」と呼ばれている人たちだ。監督の考えはわからないが、これは低賃金で働く国内外の人々で、いわゆる搾取を受けている人たちだと思う。以前『おいしいコーヒーの真実』というドキュメンタリー映画を見たけど、スターバックスのコーヒーを作るためのコーヒー豆は国際市場で競合にかけられどんどん安く買い取られているのもあって、生産者の収入はもちろん農業労働者の賃金もさらに下がっているとあった。そして『アス』の主人公たちはこの「テザード」を知ろうともしないが、テザードは地上の人たちに憧れ続けているのだ。

また、そのテザードが住む場所を地下鉄にしたのはおもしろいと思った。おそらくこれは19世紀の秘密結社「地下鉄道」をモチーフにしたものだろう。奴隷とされていた黒人たちは地下鉄道によって北を目指した。そしてこの映画においては、テザードたち=奴隷は地上=北を目指したのである。最後に画面に移された「アメリカ全土で手をつなぐテザードたち」が何を意味しているのかはまだ頭の整理が追い付いていないけど、それは案外悪いものではないのではないかと思う今日この頃でした。


■ツナ缶

GW中に親が作るご飯だけでは飽き足らず神戸のケーキ屋「レーブ・ドゥ・シェフ」や「ユーハイム」を豚のように食べ続けた結果、今まで一度も出たことのなかった僕のお腹の肉が飛び出した。ボーっとPCを観ながらなんとなく腹を触ると普段感じたことのない膨らみがあることに気づき、鏡で自分を側面から見てみると明らかに臍のあたりの肉が出て(垂れて)いる。

これはいかんぞと思い、埼玉に戻ってきてからダイエットを始めた。以前ハリウッド俳優であり、役作りのために極端に太った役や極端に痩せた体づくりができるクリスチャン・ベイルについて調べていたことがあったが、どうやら彼が痩せるときはリンゴとツナ缶のみを食べて痩せるらしいという情報がまだ僕の頭の中に残っていたのでそれを試してみることにした。

いきなり全部の食事をツナ缶+リンゴにするのはきつそうなので(そもそも職場で昼飯にリンゴとツナ缶を食べている奴なんて尋常ではないという評判をくらいそうなので)、昼食はしっかりとたべて夕食はツナ缶+リンゴのみとすることにした。

今ちょうどその生活を始めて2週間ほどたつが、すでにGW中に飛び出したお腹はちゃんと元の状態に戻り体調も以前より良くなったように感じている。また、これは思わぬ副産物だったのだが夕食が軽いと寝つきが非常に良くなることがわかった。そして、この食事は買いだめが可能であり支度の時間がほとんどかからないので一日当たりのプライベートの時間が長くなるという恩恵も得られている。

昔アニメ『ダーカーザンブラック』で誰かが暴食する主人公を見て「25歳を超えたら太るぞ」みたいなことを言っていた気がしていて、僕はそのセリフを12年くらいずっと意識してきたわけだけど、25になって本当に太ったのでそれには驚いた。思うに、もうこの歳になれば必要以上のご飯は食べない方がいいのだろう。忙しくて自分の時間が無くなってしまいそうならばなおさらだと思う。

明日からの自分が豪勢な晩御飯の誘惑に負けてしまわないことを祈るばかりである。