ダメ人間が経営をするということ④ iモードゲームを作ったときのこと

和久井がフリーランスライターになって少し経った頃、神が降臨しました。
頭の中に。

「養殖中華屋さん」というゲームのアイデアです。
ライチをせいろに入れて世話してると、プルプル、パカっと割れて、中からシュウマイが出てくる、シュウマイを世話してると、ニュッと皮が伸びてくっついて、ワンタンになる。
ワンタンを世話してると、ムクっと膨れて、餃子になる……というかんじで、点心が育っていく育てゲーです。
最後は月餅となり、落雁になって天命をまっとうします。

ゲーム会社に勤めているわけではなく、ネットに日記のような記事を書くだけのライターでした。
そんな企画を思いついたところで、どうしたらいいかわかりません。

わからないけど、とりあえずコピー用紙に鉛筆(!)で、こうしたらこうなる、みたいなマンガを書いて、いろんな会社に持って行きました。
そうして少しずつ賛同してくれる人を増やして、フラッシュ動画を作ってもらい、So-netが拾ってくれて、制作が決まりました。

今考えると、鉛筆で矢印とキャラ描いただけの企画書です。よくぞ通ったと思います。

「どこが面白いの?」って言われたこともあるし、「うちじゃできない」って言われたこともあります。
でも「ダメかもしれない」なんて考えなかったんですよね。
とにかく「このゲームは絶対面白い!」って信じていて、カタチにしたかった。
熱意に勝るものはなし、です。

このときに思ったんですよ。
「ダメかもしれない」と思って動かなかったら、絶対、100%ダメですよね、
でも、動いたら100%ダメが99%か、80%かになる。
そして大事なのは、動いてダメでも、損はしないってことです。
何百万を失うわけではない、失うとしたら、時給のたかが知れてる自分の時間です。
自分の夢が叶うかもしれないことを考えたら、やらない選択肢はありません。

そうして当時、ポストペットを運営していたプロデューサーさんにひろってもらって、周囲にプロを集めてもらって、サービスがスタートしました。

企画とイラストが和久井担当です。
うれしかったなあ。

3年くらいランして、けっこうなお金を貰ってました。

でもその後がたいへん。

サービス終了とともに、どうしたらいいのかわからなくなりました。
もともとゲームクリエイターではないし、ランしている最中にデータや経験を蓄積したわけでもなく、次のステップに活かせなかったんです。

そこから長い暗黒時代が始まりました。
この経験は、ブラインドライターズでしっかり活かそうと思っています。

何かの仕事をするときは、そこで満足せずに、他でも通用する技術を身につけること。
永遠に続く仕事はありません。
それがなくなったときに、ひょいと次の船に乗れるスキルや経験をためておくべきです。
ブラインドライターズでも、うちで仕事をするからには、次にどこへ行っても仕事ができる人になって欲しいと思っています。

ただ文字を起こすだけではなくて、人とのやり取り、自分の立ち位置や業務の意味を理解して、自分の頭で考えることを週間にして欲しいと思います。
そうしたら、たとえ文字起こしの仕事がなくなっても、誰かからきっと何か仕事がもらえたり、自分で仕事が創造できたりするはずです。

ちなみに、「養殖中華屋さん」で稼いだお金は、ぜーんぶテニスに使っちゃいました。
スクールに通って、スペインにテニス留学して、トーナメントに出まくって。
あの金が今あれば……と思わないでもないですが、経験は宝ですね。
このあと、テニスの技術を活かして、テニス雑誌で仕事を始めることになるのです。

元はといえば、子どもの頃からテレビゲームをよく遊んでました。
少女マンガもいっぱい読んでいました。
テニスに邁進して、素人ランキングで国内20位に入りました。
こういう、趣味が全部仕事になってます。

人生楽しみましょう。そしたら次に道が開けます。

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